感染報告が相次ぐ「サル痘」は何が怖いのか? 動物ウイルス学者に聞いた
「サル痘は一般的には症状は重くないといわれ、濃厚接触で広がるため隔離や衛生管理によって比較的拡大を抑制しやすいとされています」
■バイオテロでの使用を懸念された過去も
ではなぜ、いま話題なのか?
「それは今回の感染報告が英国から始まり、スペイン、ポルトガル、ドイツ、フランス、スウェーデン、ベルギー、米国など、流行地域以外で同時多発的に報告されているからです。世界で最初にその存在が報告されてから50年間は、アフリカ以外ではほとんど報告されておらず、ヒトからヒトへの感染もめったにしないとされています。そのウイルス感染症がなぜいま、同時多発的に発見されるのか。不思議です」
サル痘は先述した通り、撲滅された天然痘に似た症状があり、多くは軽症でありながらも重症化して亡くなることもある。そのため以前からバイオテロリズムに使用されることが懸念されてきた。
ただ、今回、アフリカ以外で報告された患者は多くが男性だ。20~40代が多く、ゲイやバイセクシュアルの人が多いことから、感染は性交渉による接触感染で起きたのではないか、という見方もある。