風邪をひくと眠くなるのはなぜか しっかり寝れば早く治る?
風邪をひくとだるくて眠くなり、一日中寝ていても平気……という状態になることがあります。その反対に、風邪が重症で高熱が出ているような時には、寝ることもつらくて出来ないというような場合もあります。どちらの状態も、風邪が治れば元に戻ります。こうしたことから分かるように、風邪をひくということと睡眠の状態との間には深い関係があるようです。
しかし、それはどのような関係なのでしょうか? 風邪の原因となるウイルスに感染すると、体を守る働きを持つ免疫細胞はサイトカインという炎症を起こす物質を産生します。それにより体に炎症が起こり、熱や体の痛みが生じます。熱や痛みは不快なものですが、実は体の免疫力を高め、ウイルスを退治するのに重要な働きがあるのです。それと同時に炎症性サイトカインの代表であるインターロイキン1という物質は、脳に働いて深い眠りを増やすような働きを持っています。
2015年の脳科学の専門誌に掲載された論文によると、インターロイキン1が働かないネズミにインフルエンザを感染させると、睡眠の質が低下するとともに、インフルエンザが重症化して死亡も増えました。
風邪で眠くなるのは体がウイルスから身を守るためなのです。「しっかり寝れば風邪は早く治る」という昔からの格言は、科学的にも事実であるようです。