WHOの12指針で認知症リスクを下げる 今すべきは2次予防と3次予防
病気の予防には段階があります。新型コロナウイルスでは、1次予防がワクチン接種で感染しないようにする、2次予防がマスク着用・手洗い・3密回避などで発症を遅らせる、3次予防が発症しても薬で重症化しないようにする。
認知症予防でも、3つの段階に分けて考えます。1次予防(発症させない)は、アルツハイマー病の根本的な原因が解明され、それに介入すること。現段階では1次予防は難しい。ただし、できる限り認知症にならない生活は送れます。
確実にできるのは、2次予防と3次予防です。2次予防では、生活を改善し、発症リスクを下げる。3次予防では、早期に発見し、薬物療法と非薬物療法の両輪で認知機能の低下スピードをゆっくりにする。認知症が進むと、自分の状態の理解が不十分になるため、意欲的に治療に取り組むためにも、早くからの予防が大切です。
2次予防、3次予防に役立つものとして、WHO(世界保健機関)が2019年に発表した「認知機能低下と認知症のリスク減少の指針」、そしてランセットに17年、20年に掲載された認知症の危険因子に関する論文があります。