著者のコラム一覧
西本真司西本クリニック院長

医師になって34年。手術室麻酔、日赤での緊急麻酔、集中治療室、疼痛外来経験後、1996年6月から麻酔科、内科のクリニックの院長に。これまでに約5万8000回のブロックを安全に施術。自身も潰瘍性大腸炎の激痛を治療で和らげた経験があり、痛み治療の重要性を実感している。

首の激痛がつらい…ドクターショッピングの末に来院した85歳女性

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 来院時の房子さんの白血球の値は1万2140マイクロリットルでした。正常値が3500~9000マイクロリットルですから、かなり高いことがわかります。これは体で炎症が起こっているということです。

 炎症反応の値も高く、正常値が0.3以下のところ、房子さんは10.27もあったのです。

 それまでいろんな病院を訪れられたそうですが、状態は悪化する一方、頚部の痛みも激しくなるばかり。

 そこでとにかく痛みの治療をする私の元にいらしたのです。こういう場合、やはり最初にやるべきことは痛みを取り除くことです。痛みがあると生活の質が急激に下がります。さらに痛みが継続すると、生活そのものが機能しなくなります。

 私は房子さんに頚部硬膜外ブロック療法を施し、漢方薬の十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)、真武湯(しんぶとう)を処方しました。

 ブロック注射は交感神経の過緊張を一時的にブロックします。これにより自律神経をつかさどる脳の視床下部が働き、血管が広がって血流が促進され、血中にある発痛物質が流れて掃除されて、痛みが緩和されるのです。

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