糖尿病患者が口にする「全然食べてない」には2つの意味 絶対量を食べていないのではない
「先述した通り、独居や老老介護の高齢な糖尿病患者さんはタンパク質を取りたくても取れない状況にある。それなのに減量を呼びかけることに意味があるのでしょうか」
「全然食べていない」が「糖尿病になりそうなものを食べていない」という患者の場合は、もともと炭水化物や果物、栄養ドリンクなどを過量摂取しているケースが多い。彼らは糖尿病は甘いものを食べるからと勘違いしているという。
「甘いものはお菓子やジュースなど砂糖が入ったものと誤解しています。話を聞くと、パンやごはん、パスタを3食しっかりと食べ、バナナやミカンをおやつに食べて、健康のためと栄養ドリンクを飲んでいる。主食や果物が糖質であることを理解していません。これらの食習慣を改めない限り、体重や中性脂肪が増えて、血糖値を悪化させます」
糖質はタンパク質と結びつく性質があり、「糖化タンパク」(AGEs=糖化最終生成物)となる。それが体にたまることで各臓器をサビさせ「老化」につながる。当然そうした認識もない。
「糖化が皮膚で起こればシミや脱毛、目に起これば白内障になります。果物に多い果糖は、ブドウ糖の300倍糖化を起こしやすいといわれており、もともと血糖値の高い糖尿病患者は特に糖化を起こしやすいため、果糖の過量摂取は全身の老化や合併症につながるリスクが高い。栄養ドリンクやスポーツドリンクにもトウモロコシから作られる人工的な果糖である『ブドウ糖果糖液糖』が多く含まれており、十分注意する必要があります」