糖尿病の薬が慢性腎臓病に効く? 世界的医学誌がデータ分析
最近、「CKD(慢性腎臓病)」という言葉を聞く機会が多くなっています。腎臓は尿から体の老廃物を排泄し、血圧や電解質を調節するなど、健康の維持に重要な働きを持つ臓器ですが、高血圧や糖尿病などさまざまな病気の影響を受けて、その機能は低下することがあります。初期は症状もなく、検査をしてみないと異常の有無は分かりませんが、進行するとむくみやだるさなどの症状が出て、透析治療が必要となることもある怖い病気です。
これまで進行を予防するための方法は、血圧や脂質のコントロール以外にはあまりありませんでしたが、最近、糖尿病に使用されている治療薬が腎臓病の進行予防にも有効な可能性が指摘され、注目を集めています。
その薬は「SGLT2阻害剤」と言います。尿に糖分を排泄する作用のある糖尿病の飲み薬ですが、心不全の治療にも有効で、心筋梗塞や脳卒中の予防効果もあることが分かり糖尿病以外の病気にも使用が拡大されているのです。
今年のランセットという一流の医学誌に、これまでの研究データをまとめて分析した論文が掲載されています。
9万人以上のデータを解析したところ、慢性腎臓病の進行を、SGLT2阻害剤は37%も低下させていて、その効果は、糖尿病のあるなしで違いはありませんでした。
最近、注目の糖尿病治療薬は腎臓の薬でもあるようです。