腎臓病は初期症状なし 採血と尿検査が早期発見の唯一の手掛かり
アルコールでダメージを受ける臓器といえば肝臓が真っ先に頭に浮かぶだろうが、夏場の飲み会では腎臓にも注意が必要だ。
アルコールは利尿作用があり、体が脱水状態に陥りやすい。すると腎臓に流れる血流量が減少し腎臓にダメージを与える。さらに血圧の薬、痛み止め、骨粗しょう症の薬を飲んでいると、これらの薬にはもともと腎血流を下げる作用がある。夏場の脱水と重なりダブルパンチ、トリプルパンチになることもある。
「症状がないから大丈夫」と思っている人もいるだろう。それは大間違いだ。赤羽もり内科・腎臓内科(東京都北区)の森維久郎院長が言う。
「腎機能が低下し慢性腎臓病(CKD)を発症していても、体のだるさなど何らかの症状が出てくるのは重症になってから。それまでは全く症状がありません。『健診で数値の異常を指摘されたが、症状がないので放置していたら人工透析に』という患者さんは少なくありません」
腎臓は、機能低下があるレベルを超えると治療を受けても元の状態には戻らない。そのままCKDが進行すると腎不全となり、血液透析、腹膜透析、腎移植のいずれかの治療が必要となる。