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荒川隆之薬剤師

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

【ヒトメタニューモウイルス感染症】10歳までにほぼ全員が1回は感染する

公開日: 更新日:

 ヒトメタニューモウイルスは、小児を中心とした急性呼吸器感染症のウイルスのひとつです。1~3歳の幼児の間で流行するケースが多いのですが、大人にも感染します。

 初感染は生後6カ月ごろから始まり、2歳までに約半数、遅くとも10歳までにほぼ全員が1回は感染します。小児の呼吸器感染症の5~10%、大人の呼吸器感染症の2~4%は、ヒトメタニューモウイルスが原因だと考えられています。

 ヒトメタニューモウイルス感染症は春先に流行することが知られていて例年1月あたりから報告件数が上昇し、3~4月にピークを迎えます。インフルエンザウイルスや新型コロナウイルスと同じく飛沫や接触により感染し、4~6日の潜伏期間の後に発症します。

 いわゆる風邪症状、咳、鼻水、発熱などが主症状です。通常、1週間程度で症状は治まりますが、乳幼児や高齢者では重症化することもあり、注意が必要です。多くの人は何度も繰り返し感染してしまいますが、年齢が上がるにつれて徐々に免疫がつき、症状が軽くなる傾向にあります。


 ヒトメタニューモウイルス感染症は、インフルエンザウイルスや新型コロナウイルスとは異なり、ワクチンや抗ウイルス薬がなく、重症度に応じた対症療法を行います。

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