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名郷直樹「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

選択バイアス、情報バイアス、交絡因子…コントロールできるバイアスと、できないもの

公開日: 更新日:

 次に「情報バイアス」であるが、情報が入るとその情報によって結果がゆがめられるというバイアスである。コロナを心配して医療機関を受診した人が、マスクをつけている場合には医療者がコロナの可能性を低く見積もり、つけていない場合には高く見積もって、前者での検査が不十分となり、後者でコロナ患者が多く発見されるというような場合である。これも多くの場合、効果を過大評価する方向に働く。しかしながら、マスクをつけている人はコロナをより心配している人が多く、いろいろな情報を得てコロナを心配することが多く、より検査を受けやすいという方向に働くバイアスもある。こうした効果を過大評価する方向にも、過小評価する方向にも働くバイアスは、コントロールが困難なばかりでなく、結果をどちらにゆがめているかがわからず、結果の解釈を困難にする。

 3つ目の「交絡因子」であるが、これは医療の効果を評価する際の最大のバイアスと言ってもいいものである。

 マスクの効果の研究を例に言えば、マスクをつけている人の平均年齢が70歳で、つけていない人が50歳であれば、当然前者でコロナ重症者が多く発生するリスクが高く、マスクの効果を過小評価する方向に結果をゆがめる。この際、後者で重症者が少ないという結果は、マスクの効果というより、年齢が交絡したためにゆがめられているというわけである。

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