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名郷直樹「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

「正しい情報」のあいまいさ…バイアスが情報をゆがめる

公開日: 更新日:

「統計学的に正しい情報」から、「薬を飲むこの人にとって正しい情報」までの距離を考えるといっても丸腰ではどう考えていいのか見当がつかないだろう。ここでは考えるためのさまざまな武器について、しばらく取り上げていきたい。

 その基盤になる「情報の表す3つのもの」という考え方がある。

 情報が表すものは「真実」「バイアス」「偶然」の3つの混合であり、単に正しい/正しくないということではないということである。

「バイアス」とは、偏り、偏見などと訳されるが、何かの要因でゆがめられた情報である。

 極端な例としては、製薬会社がデータを改ざんしたり、都合の悪いデータを削除したりするのも、薬の効果を証明したいという心の動きがデータをゆがめるバイアスになっているというわけだ。

 しかし、バイアスとなるのは、そのような意図的なものでないことの方が問題になる。例えば、がん検診を受けた人と受けない人でがんの死亡率を比較すると、検診を受けたグループで死亡率が低くなることが示されるが、その死亡率低下の陰には常に3つのバイアスがある。

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