著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

北別府学さんは65歳で他界…成人T細胞白血病は母乳からウイルス感染で発症する

公開日: 更新日:

 抜群の制球力で「精密機械」と称された元広島カープの投手・北別府学さんの命を奪ったのは、白血病でした。まだ65歳の若さです。白血病は細胞の種類によって骨髄性とリンパ性、病気の進行によって急性と慢性があり、大きく4つに分かれます。たとえば急性リンパ性白血病は抗がん剤が効きやすく、競泳池江璃花子さん(22)がこの病気を克服して競技に復帰したことは記憶に新しいでしょう。

 ところが、北別府さんの白血病はこれらとは別で、成人T細胞白血病(ATL)です。ウイルス感染が原因となる特殊なタイプで、感染した母親の母乳から感染する珍しい経路になります。5年生存率が1割で、難治性なのです。

 このウイルスは分布に特徴があって、沖縄や九州に多くみられます。都道府県別で白血病の死亡率が最多の沖縄は、このウイルスの感染率が高い。北別府さんも、鹿児島出身でした。沖縄や九州以外では、東北の三陸地方や北海道に多い傾向があります。元宮城県知事の浅野史郎さん(75)も、2005年からこの病気で闘病中です。

 北別府さんが発症したのは18年。20年5月に骨髄移植を受けています。それから3年での最期となりました。2人の明暗を分けたのは、どこにあるのでしょうか。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    フジテレビ問題でヒアリングを拒否したタレントU氏の行動…局員B氏、中居正広氏と調査報告書に頻出

  2. 2

    “3悪人”呼ばわりされた佐々木恭子アナは第三者委調査で名誉回復? フジテレビ「新たな爆弾」とは

  3. 3

    「かなり時代錯誤な」と発言したフジ渡辺和洋アナに「どの口が!」の声 コンパニオンと職場で“ゲス不倫”の過去

  4. 4

    中居正広氏「性暴力認定」でも擁護するファンの倒錯…「アイドル依存」「推し活」の恐怖

  5. 5

    「よしもと中堅芸人」がオンカジ書類送検で大量離脱…“一番もったいない”と関係者が嘆く芸人は?

  1. 6

    菊間千乃氏はフジテレビ会見の翌日、2度も番組欠席のナゼ…第三者委調査でOB・OGアナも窮地

  2. 7

    入場まで2時間待ち!大阪万博テストランを視察した地元市議が惨状訴える…協会はメディア取材認めず

  3. 8

    米国で国産米が5キロ3000円で売られているナゾ…備蓄米放出後も店頭在庫は枯渇状態なのに

  4. 9

    うつ病で参議員を3カ月で辞職…水道橋博士さんが語るノンビリ銭湯生活と政治への関心

  5. 10

    巨人本拠地3連敗の裏に「頭脳流出」…投手陣が不安視していた開幕前からの懸念が現実に