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名郷直樹「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

統計医学的検討…「有意差なし」は必ずしも「効果なし」の意味ではない

公開日: 更新日:

 情報を基に医療を考えるには、統計学的な手法を知る必要がある。その統計学的検討には前回取り上げたさまざまな指標と、さらに「推定」と「検定」という2つの方法がある。情報を表す3つの「真実・バイアス・偶然」の点で言えば、偶然を検討するための方法が推定と検定である。

 指標については「割合」「率」「比」「差」など四則計算のレベルで理解可能な部分があり、それについては前回解説した。今回はそれに引き続き、統計学的検討の最も主要な部分である推定と検定について取り上げる。ただ、推定と検定は素人が手計算でできるようなものではなく、コンピューター、統計ソフトを必要とする。その全貌を私自身が理解しているわけではないので、ここではその検討結果の利用の仕方を中心に説明を試みたい。

 前々回取り上げたデンマークで行われたマスク推奨の効果を検討したランダム化比較試験の結果を見てみよう。その差はマイナス0.3%で、その95%信頼区間はマイナス1.2~0.4、危険率0.38。また相対危険はオッズ比で表され、0.82、その95%信頼区間は0.54~1.23、危険率0.33と報告されている。

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