著者のコラム一覧
名郷直樹「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

「統計学的検討」の指標はさまざま 何が起きているかをどう表現するか

公開日: 更新日:

 前回、デンマークのマスク推奨の効果を検討したランダム化比較試験について書いた。今回もその続きである。1カ月間のコロナ感染症が、マスク推奨群で1.8%、非推奨群で2.1%という結果であったが、この結果をさらに詳細に検討しよう。

 この際まず考えることは、この1.8%と2.1%という数字そのものの妥当性である。さらに2.1-1.8=0.3%と差をとれば、この0.3%の減少の妥当性である。

 ここで検討すべきが「真実、バイアス、偶然」のうちの「偶然」である。この研究に参加したのは、デンマーク人の中でも仕事上マスクをすることがなく、3時間以上を自宅外で生活するという人のそのまた一部である。その一部の人たちでの結果として、それぞれのグループでのコロナ感染症の発生が1.8%と2.1%ということであるが、もう一度同じ対象者から別の参加者を集めて検討したら、また違った結果になるかもしれない。さらにそうした研究を繰り返して行うと、どれくらいの幅に収まるのかどうかを検討しなければ、一度の結果でどうこう言うのはむつかしいという面がある。そこで登場するのが「統計学的検討」である。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    日本は強い国か…「障害者年金」を半分に減額とは

  2. 2

    SBI新生銀が「貯金量107兆円」のJAグループマネーにリーチ…農林中金と資本提携し再上場へ

  3. 3

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  4. 4

    「おこめ券」でJAはボロ儲け? 国民から「いらない!」とブーイングでも鈴木農相が執着するワケ

  5. 5

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  1. 6

    侍Jで加速する「チーム大谷」…国内組で浮上する“後方支援”要員の投打ベテラン

  2. 7

    石破前首相も参戦で「おこめ券」批判拡大…届くのは春以降、米価下落ならありがたみゼロ

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    高市政権の物価高対策「自治体が自由に使える=丸投げ」に大ブーイング…ネットでも「おこめ券はいらない!」