マスクの効果を評価したランダム化比較試験 0.3ポイントでも条件が変われば…
今回はマスクの効果を評価したランダム化比較試験について紹介しよう。ようやく、やっとのことでというか、あるいはすでに読むのをやめてしまった人が多いかもしれないが、やめてしまった人がまた戻ってきてくれることも期待して、話を続けよう。
まず言っておきたいことは、マスクの効果を評価したランダム化比較試験と言っても、バイアスのうち交絡因子が考慮されたにすぎないし、さらに医学情報のうちでも一部に過ぎないということである。
マスクの効果について考え判断するためのほんのひとつの情報であって、ランダム化比較試験の結果がすべてではないことを自覚しておくことが、まず重要である。
新型コロナ感染症についてのランダム化比較試験は多くない。私が探すことができたのは2つに過ぎない。日本での研究はない。デンマークとバングラデシュの研究である。それ以外にもあるかもしれない。新たに見つかればまたこの連載で紹介できるだろうから、今回はとりあえずこのうちデンマークの研究について見てみよう。
デンマークの研究では、仕事上でマスクをする必要がなく、1日のうち3時間以上を自宅以外で生活する成人を対象に、自宅以外で着用するようマスクの支給を受けたグループと、マスクを推奨しないグループとを比較して、1カ月間の新型コロナ感染症を検討したランダム化比較試験である。