著者のコラム一覧
名郷直樹「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

統計医学的検討…「有意差なし」は必ずしも「効果なし」の意味ではない

公開日: 更新日:

 医学論文にはよく出てくるフレーズだが、統計学を学んでいない人には何がなんだかわからないと思う。その意味を解説しよう。

 まず、発症率の差がマイナス0.3%というのを、前回説明した絶対危険減少で示せば0.3%の発症減少ということである。減少の部分をマイナスで示したというだけである。今回の話題は、その指標の後に書かれた数字の範囲と1以下の数字である。この範囲で示されるのが信頼区間による推定で、1以下の数字で示されるのが危険率。この危険率をもとに行われるのが検定である。

■「推定」と「検討」を知る

 まず、信頼区間による推定から説明しよう。

 感染発症の差はマイナス1.2~0.4と示されているが、これは95%信頼区間と書かれているように「同じような研究を100回行えば95回はその範囲に収まる」と推定される結果である。効果を大きく見積もれば1.2%減らすかもしれないし、小さく見積もると0.4%増やすかもしれないと考えるとわかりやすいかもしれない。減らすかもしれないし、増やすかもしれない。減らすとも増やすともはっきりとは言えない結果である。ただ、いずれにしても効果は小さく感じられる。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人が戦々恐々…有能スコアラーがひっそり中日に移籍していた!頭脳&膨大なデータが丸ごと流出

  2. 2

    【箱根駅伝】なぜ青学大は連覇を果たし、本命の国学院は負けたのか…水面下で起きていた大誤算

  3. 3

    フジテレビの内部告発者? Xに突如現れ姿を消した「バットマンビギンズ」の生々しい投稿の中身

  4. 4

    フジテレビで常態化していた女子アナ“上納”接待…プロデューサーによるホステス扱いは日常茶飯事

  5. 5

    中居正広はテレビ界でも浮いていた?「松本人志×霜月るな」のような“応援団”不在の深刻度

  1. 6

    中居正広「女性トラブル」フジは編成幹部の“上納”即否定の初動ミス…新告発、株主激怒の絶体絶命

  2. 7

    佐々木朗希にメジャーを確約しない最終候補3球団の「魂胆」…フルに起用する必要はどこにもない

  3. 8

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 9

    フジテレビ「社内特別調査チーム」設置を緊急会見で説明か…“座長”は港社長という衝撃情報も

  5. 10

    中居正広「女性トラブル」に爆笑問題・太田光が“火に油”…フジは幹部のアテンド否定も被害女性は怒り心頭