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名郷直樹「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

論文と現実のギャップ…「サブグループ分析」で目の前の個人に近い人で解析

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 さらにこの論文では年齢ごとの効果の違いについて40歳未満、40歳代、50歳代、60歳以上の4つのグループでそれぞれ検討している。40歳未満の相対危険と95%信頼区間は0.967(0.834~1.1)、40歳代で1.009(0.817~1.2)、50歳代で0.772(0.595~0.949)、60歳以上で0.647(0.448~0.845)という結果である。50歳未満ではマスクの効果は明らかでなく、高齢者で効果が大きい傾向にあるという結果である。

■調査対象数が少ないと極端な結果も

 上記の、ある特定の集団を取り出して解析する方法を「サブグループ分析」と呼ぶ。全体の解析に対して、一部を取り出した解析である。その結果をそのまま受け取れば、サージカルマスクと布マスクに差はなく、50歳未満の人に対するマスクの効果は明らかでなく、50歳以上では相対危険で0.7、相対危険減少で30%(1-相対危険)程度の予防効果があるかもしれない、ということになる。しかしこのサブグループ分析には注意が必要である。

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