将来的な妊娠を見据えて広まりつつある「卵子凍結」の実態

公開日: 更新日:

■妊娠率は体外受精と変わらない

 卵子凍結の手順は、いくつものプロセスを踏んで行われる。

「1回の採卵でより多くの卵子を採取できるよう、月経の3日目から約1週間、卵巣を刺激する排卵誘発剤を服用または注射し、卵子が入っている卵胞を育てます。ただ、大きくなりすぎると排卵が起こりやすいので、排卵を防ぐ治療も同時に行います。手術当日は、まず超音波で卵巣の位置を確認し、静脈麻酔下で膣から長細い針を挿入して採卵し、液体窒素のタンクに入れて凍結保存します。妊娠を希望する際は、凍結卵子を融解し、顕微授精させて子宮内に移植する流れになります」

 合併症を抑えるため、一度の採卵で採取する卵子の個数は最大15個程度までが望ましい。また、たとえ10個の卵子を採れたとしても、融解して使用できる卵子は2~3個ほどだという。

「ヨーロッパの統計では、1個の卵子から出産できる確率は、20代後半で13%前後、30代前半で10%前後、30代後半で7%前後、40代前半で5%前後で、体外受精と変わらない確率です」

 費用は医療施設によって異なるが、社会的適応の場合すべて自費診療だ。オーク会では約35万円+卵子保管料約17万円(2年間)だという。晩婚化がさらに進めば卵子凍結もますます盛んになるかもしれない。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    立花孝志容疑者を"担ぎ出した"とやり玉に…中田敦彦、ホリエモン、太田光のスタンスと逃げ腰に批判殺到

  2. 2

    阪神・佐藤輝明にライバル球団は戦々恐々…甲子園でのGG初受賞にこれだけの価値

  3. 3

    FNS歌謡祭“アイドルフェス化”の是非…FRUITS ZIPPER、CANDY TUNE登場も「特別感」はナゼなくなった?

  4. 4

    阪神異例人事「和田元監督がヘッド就任」の舞台裏…藤川監督はコーチ陣に不満を募らせていた

  5. 5

    新米売れず、ささやかれる年末の米価暴落…コメ卸最大手トップが異例言及の波紋

  1. 6

    兵庫県・斎藤元彦知事らを待ち受ける検察審の壁…嫌疑不十分で不起訴も「一件落着」にはまだ早い

  2. 7

    カズレーザーは埼玉県立熊谷高校、二階堂ふみは都立八潮高校からそれぞれ同志社と慶応に進学

  3. 8

    日本の刑事裁判では被告人の尊厳が守られていない

  4. 9

    1試合で「勝利」と「セーブ」を同時達成 プロ野球でたった1度きり、永遠に破られない怪記録

  5. 10

    加速する「黒字リストラ」…早期・希望退職6年ぶり高水準、人手不足でも関係なし