著者のコラム一覧
尾上泰彦「プライベートケアクリニック東京」院長

性感染症専門医療機関「プライベートケアクリニック東京」院長。日大医学部卒。医学博士。日本性感染症学会(功労会員)、(財)性の健康医学財団(代議員)、厚生労働省エイズ対策研究事業「性感染症患者のHIV感染と行動のモニタリングに関する研究」共同研究者、川崎STI研究会代表世話人などを務め、日本の性感染症予防・治療を牽引している。著書も多く、近著に「性感染症 プライベートゾーンの怖い医学」(角川新書)がある。

昭和の農村では日常だった 女性の「立ち小便」と専用小便器

公開日: 更新日:

 男性のペニスは、実に機能性に優れています。それは「立ち小便」ができるからです。公衆トイレでは、ズボンのチャックを下ろすだけで素早く用を足すことができ、女子トイレのように行列に悩まされることはめったにありません。

 では、女性は立ち小便ができないのでしょうか。

 実は、昭和初期までの農村では、女性が立って小便をする光景は珍しくありませんでした。昔は着ている物は、だいたい腰巻きに着物、パンツははいていません。立ち小便の仕方は、着物の裾と腰巻きをたくし上げ、股を開いて軽くおじぎをした中腰姿勢で放尿するのです。これなら畑仕事の間に尿意をもよおしても、その辺で簡単に用を足せたわけです。

 また、米国では男女兼用の立ち小便器が1920年代には販売されていました。その後、女性向けの「サニスタンド」という小便器が注目を浴びるようになったのは30年代後半です。それはナイロン製のストッキングが開発され、便座に腰かけて用を足すと膝が曲がり、ストッキングが伸びたり伝線したからです。中腰姿勢の立ち小便なら、それが防げたのです。

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