将来的な妊娠を見据えて広まりつつある「卵子凍結」の実態
船曳氏によると、社会的適応で卵子凍結を受ける理由のうち、3割は「現在パートナーがいないが将来に備えておくため」、残る7割は「パートナーがいるが、妊娠・出産の予定が立っていない」「パートナーが協力的でない」「今はキャリアアップを優先したい」など、人によってさまざまだ。
中でも、卵子凍結に踏み切るきっかけになりやすいのが、“卵子年齢”の検査だという。
「婦人科で行われている血液検査の項目に『AMH検査』があり、これは卵巣の中に卵子がどれくらい残っているか推測できる検査法です。AMH値が極端に低いと早期閉経のリスクが高く、閉経すれば妊娠は不可能です。またAMHが低値だと、1度の採卵で採取できる卵子の数も非常に少ない。20代からコツコツと卵子をためておき、30代で出産される方もいます」
都内に住む36歳の女性は、不妊治療をしていた姉の影響もあり、28歳のときに婦人科を受診。AMH検査の結果から、28歳時点での卵子の残存数が37歳相当と判定された。29歳で卵子凍結を決意し、2年ほど継続したのち34歳で凍結卵子を移植し、妊娠・出産に至った。