家族介護の光と影…親の介護と心理的苦痛の関係性を調査
長きにわたる家族の介護は、介護者の身体的な負担や精神的な消耗につながり、心理的苦痛の原因となる可能性が指摘されています。そのため、介護が必要な家族が亡くなり、介護生活が終わると、さまざまなストレス要因から解放され、心理的苦痛が軽減する可能性もあります。
しかし、介護が終了した場合に、介護者の精神状態がどのように変化するかについて、質の高い研究データは限られていました。
そんな中、厚生労働省が実施した「中高年者の生活に関する継続調査」のデータを用いて、介護者の心理的苦痛の変化を分析した研究論文が、日本疫学会誌の電子版に2024年9月28日付で掲載されました。
この研究では、06年以降に親、もしくは義理の親の介護を開始し、21年までに介護を終了した8280人(平均63.1歳)が対象となりました。介護の終了から3年間にわたって追跡調査が行われ、研究参加者の心理的苦痛の変化が分析されています。なお、心理的苦痛は精神状態の不調を24点満点で評価し、5点以上と定義されました。