(6)老化細胞を取り除く「ワクチン」「薬」は競争が激化している

公開日: 更新日:

 実は、この発想による医療技術は既に実用化されている。CAR-T細胞療法と呼ばれるもので、患者の血液から作ったCAR-T細胞と呼ばれる細胞を用いたがん治療法だ。主に白血病治療で成果を上げている。

■順天堂大と東大で注目研究

 これを応用した老化細胞除去の研究が世界中で行われ、日本でも研究が進んでいる。

 2021年には順天堂大学の研究グループが蓄積した老化細胞に対する抗体を作り、これを除去するワクチン開発成功を発表。ターゲットは、老化した血管内皮細胞の表面にあるGPNMBと呼ばれる老化抗原(目印)。開発されたワクチンを投与すると血管や臓器にたまった老化細胞に対する抗原が作られ、白血球などの免疫細胞が異物と認識して攻撃して体外に排出するという仕組みだ。

 同研究グループによると、このGPNMBワクチンを高脂肪食で飼育したマウスに投与したところ、食後血糖値が低下したほか、肥満による糖代謝異常も改善、血管内のプラークも軽減した。また、早老症マウスに注射したところ、最大30週の寿命が40週まで延長したマウスもいたという。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    参政党が消せない“黒歴史”…党員がコメ農家の敵「ジャンボタニシ」拡散、農水省と自治体に一喝された過去

  2. 2

    極めて由々しき事案に心が痛い…メーカーとの契約にも“アスリートファースト”必要です

  3. 3

    遠野なぎこさんを追い詰めたSNSと芸能界、そして社会の冷酷無比な仕打ち…悲惨な“窮状証言”が続々

  4. 4

    ドジャース大谷翔平がついに“不調”を吐露…疲労のせい?4度目の登板で見えた進化と課題

  5. 5

    “お荷物”佐々木朗希のマイナー落ちはド軍にとっても“好都合”の理由とは?

  1. 6

    清水賢治社長のセクハラ疑惑で掘り起こされるフジテレビの闇…「今日からシリケン」と“お触り続行”の過去

  2. 7

    カブス鈴木誠也「夏の強さ」を育んだ『巨人の星』さながら実父の仰天スパルタ野球教育

  3. 8

    千葉を「戦国」たらしめる“超過密日程”は今年の我が専大松戸に追い風になる手応えを感じています

  4. 9

    趣里はバレエ留学後に旧大検に合格 役者志望が多い明治学院大文学部芸術学科に進学

  5. 10

    参政党が参院選で急伸の不気味…首都圏選挙区で自公国が「当選圏外」にはじかれる大異変