ドミノ・ピザで不適切動画流出…アルバイトは今や企業リスク、人材難の中の当世求人事情
LEOCはスポーツマンのガッツに期待
そんな中、夢を目指している人を積極的に採用する企業も増えている。
全国2800カ所以上で社員食堂や病院・介護施設の給食を運営している「LEOC」(東京・千代田区)は、今年、女子社会人サッカーチーム「オノデラFCブルーム」の選手募集を開始する。働きながらプロを目指す人を応援するというのが理由で、選手は主に午前中は通常勤務し、午後の時間を練習に充てる。待遇は「FC職」という月給25万円の正社員で、来年4月入社。現役引退後もそのまま通常の正社員として働くことができる。
「女子サッカーの世界では、生活の糧がなく、競技続行を断念する人が多く見られます。そんな夢を目指す人を応援したいのはもちろんですが、スポーツ選手は特に礼儀や熱意に優れ、チームワークもある優秀な人材という位置づけです。一般採用では得られない潜在能力を秘める魅力的なターゲットなのです」(LEOC担当者)
同社ではすでに19年から男子チームもスタートしており(現在は神奈川県社会人サッカー1部リーグ)、女子チームも神奈川県3部から将来的に最上位の「なでしこリーグ」入りを目指しているという。
■歌手や俳優の卵の才能を生かしたい
スポーツ選手以外にも声優やダンサーといった一芸に秀でた人材をアルバイトとして採用する動きも出ている。営業・販売支援「セレブリックス」(東京・江東区)は、舞台俳優や芸人、歌手などを目指すエンターテインメントの“卵”を募集している。
その「プロモーションキャスト」という求人について同社広報担当者がこう説明する。
「俳優や芸人を目指す人は人前で話すという点において場慣れしており、販売や接客の現場に向いています。もっとも、本業に関して稽古や急なオーディションがあったりして、なかなかアルバイトをしたくても働きにくい環境があります。そこで雇う側は勤務に融通を持たせつつ彼らの一芸を求め、逆に夢を追いかける人たちは表現力という才能を生かしつつ柔軟な働き方ができるようになります」
具体的には「急なお休みOK」で、専任のコーディネーターが勤務スケジュールを調整してくれるという。芸人の卵たちはPR販売のスタッフやイベント司会などで能力を生かすことになるし、声優はよく通る声がプロモーションなどに向いているようだ。
もちろん、こうした一芸求人が増える背景には、深刻な人材不足があるのも事実。企業は時給を上げたり、労働条件を柔軟に対応することで、より良い人材を確保しようとしている。インバウンドでアルバイトの需要は余計に高まっている。