著者のコラム一覧
有森隆経済ジャーナリスト

早稲田大学文学部卒。30年間全国紙で経済記者を務めた。経済・産業界での豊富な人脈を生かし、経済事件などをテーマに精力的な取材・執筆活動を続けている。著書は「企業舎弟闇の抗争」(講談社+α文庫)、「ネットバブル」「日本企業モラルハザード史」(以上、文春新書)、「住友銀行暗黒史」「日産独裁経営と権力抗争の末路」(以上、さくら舎)、「プロ経営者の時代」(千倉書房)など多数。

WECARS(下)伊藤忠の狙いは自動車アフターマーケットの強化にあり

公開日: 更新日:

 矢野経済研究所によると、自動車アフターマーケットの市場規模は約20兆円(22年)と大きく、景気に左右される新車販売と違って安定的なのが特徴。とりわけ、電気自動車(EV)時代の到来でビジネスチャンスは大きくなった。新会社WECARSが加わることで、アフター領域で戦力を大幅に強化できる。

 バラ色の話ばかりではない。伊藤忠にとって旧BMの不祥事を断ち切れなければ、自社の信用を毀損する大きなリスクがある。

■精鋭部隊を派遣

 WECARSはJWP主導で経営再建を目指すが、伊藤忠グループは田中慎二郎社長をはじめ50人の社員を派遣し事業再生を目指す。派遣部隊の大半を占めるのは中古車販売やレンタカー事業もやってきた伊藤忠エネクスの精鋭部隊だ。

 田中社長は前出のインタビューで「組織風土改革をしなければ、その上に何を積み上げても砂上の楼閣になる」と述べ、不正を防ぐ組織づくりを最優先の経営課題に挙げた。


 BMでは基本給は低く抑えられた一方、営業職なら車を売れば売るほど歩合が増える仕組みで、営業マンの平均年収は1100万円、最高年収5000万円を得ていた、といわれている。

 秋口とされる人事・報酬制度の抜本的改正に4000人余の社員がどう反応するのか。歩合を廃止する代わりに基本給を上げるだけでいいのか。伊藤忠にとって最初の試金石となる。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    武田鉄矢「水戸黄門」が7年ぶり2時間SPで復活! 一行が目指すは輪島・金沢

  2. 2

    生田絵梨花は中学校まで文京区の公立で学び、東京音大付属に進学 高3で乃木坂46を一時活動休止の背景

  3. 3

    未成年の少女を複数回自宅に呼び出していたSKY-HIの「年内活動辞退」に疑問噴出…「1週間もない」と関係者批判

  4. 4

    2025年ドラマベスト3 「人生の時間」の使い方を問いかけるこの3作

  5. 5

    2025年は邦画の当たり年 主演クラスの俳優が「脇役」に回ることが映画界に活気を与えている

  1. 6

    真木よう子「第2子出産」祝福ムードに水を差す…中島裕翔「熱愛報道」の微妙すぎるタイミング

  2. 7

    M-1新王者「たくろう」がネタにした出身大学が注目度爆上がりのワケ…寛容でユーモラスな学長に著名な卒業生ズラリ

  3. 8

    松任谷由実が矢沢永吉に学んだ“桁違いの金持ち”哲学…「恋人がサンタクロース」発売前年の出来事

  4. 9

    高市政権の積極財政は「無責任な放漫財政」過去最大122兆円予算案も長期金利上昇で国債利払い爆増

  5. 10

    農水省「おこめ券」説明会のトンデモ全容 所管外の問い合わせに官僚疲弊、鈴木農相は逃げの一手