保阪正康
著者のコラム一覧
保阪正康作家

1939年、北海道生まれ。同志社大卒。編集者を経て「死なう団事件」でデビュー。「昭和天皇」など著書多数。2004年、一連の昭和史研究で菊池寛賞。本連載「日本史 縦横無尽」が『「裏切りの近現代史」で読み解く 歴史が暗転するとき』(講談社)として好評発売中。

農民が労働者の視点を持ち始めた 共産主義運動の流れで急増した「小作争議」

公開日: 更新日:
明治末期・大正時代の農民たち(C)イマジンネット画廊所蔵/共同通信イメージズ

 橘孝三郎らが目指した農村共同体の改革は一面で近代日本の資本主義体制への挑戦でもあった。農民がまさに、「生かさず殺さず」の環境で日々働くことでその体制は支えられていた。

 大正期の小作農の生活がいかにひどいかは農本主義者たちの怒りを見ていくことで容易にわかる。橘は、農家の一…

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