首位打者の03年と打点王の05年は、打ち方を180度変えていた。持論は「打率と打点は両立しない」

球場はなぜバックスクリーンがあるセンター方向が一番深いのか。それは投球をまっすぐ打ち返すことで最も打球が飛ぶからである。センター方向への角度とタイミングで打つことが打撃の基本。
簡単に言うと、バットをセンター方向へ放り投げるようなスイングである。これがよくいわれる「センター返し」で、僕は星野仙一監督が就任した2002年、選手として後がないと感じ、意識を変えて「インサイドアウト」のスイングを徹底することを決めた。
これは内側からバットを出すことで、バットの先、つまりヘッドが最後まで残る打ち方。これが理想形だ。ヘッドが遅れて出てくるので、ヘッドの利いたスイングになる。
例えると、金づちでクギを打つイメージ。手首を固定したまま金づちを打っても力は伝わらないのと同じだ。
バッティングはポイントが近ければライト方向へ、タイミングが早ければレフト方向へ飛ぶ。センター返しを意識してインサイドアウトで振れば、打球はヒットゾーンへ飛ぶことが多い。
僕はこの打法で02年に猛打賞(3安打以上)21回。これは1985年のバースの20回を抜く阪神の猛打賞記録だった。翌03年には打率.340で初の首位打者となった。
よく「悪球打ち」や「感覚派」といわれたが、この頃は正反対で、機械のように、ひたすら投手に向かってインサイドアウトでバットを振ることだけを意識していた。
これは難しいインコース攻略にも役立った。ボールとの距離が近いので
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