落合さんから受けた珍マンツーマン打撃指導
ナゴヤ球場での試合だったと思います。
二塁を守っていた僕は一、二塁間を抜けるかという強い打球をダイビングキャッチ。そのままの体勢で一塁に送球し、アウトにしました。
完璧なプレーや!
その場に倒れたまま余韻に浸っていたら、「どこに投げてんだ!」と怒声が降ってきました。
一塁の落合博満さんです。送球が少し横にそれたことが不満だったようで、まだ起き上がらないうちに強烈なボール回しの球が返ってきました。
自分としては目いっぱいのプレーです。少しくらい送球が乱れるのは大目に見て下さいよ、とは思いましたが、こうした厳しさが僕を成長させてくれたのも事実です。
二遊間でコンビを組むことが多かった、川相昌弘現巨人ヘッドコーチもそうでした。普段は温和なイメージのある川相さんですが、こと野球に関しては当時の巨人の中で最も厳しい人でした。
なにしろ、プロ野球を代表する超のつく名手です。軽やかなフットワーク、柔らかなグラブさばき、正確無比の送球……。捕ってからの速さは怖いくらいでした。川相さんがミスをすることなどあり得ませんから、併殺を取れなかったらそれは僕の責任。川相さんに怒られないように、迷惑をかけないように、それだけで必死でした。そういう緊張感が僕の守備を上達させてくれたのです。