著者のコラム一覧
武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

錦織圭を輩出 盛田正明氏が私財投じ財団を立ち上げた深層

公開日: 更新日:

 90年代に入ってスペインのバルセロナ、イタリアのサンレモなどヨーロッパの温暖な地域にも設立され、東欧圏からの若手を育ててきた。最近では、ラファエル・ナダルが故郷のマジョルカ島にアメリカンスクールを併設したアカデミーを開いて話題になり、セリーナ・ウィリアムズのコーチで有名なパトリック・ムラトグルーが経営するアカデミーは若手の旗頭ステファノス・チチパス、天才少女ガウフを送り出して売り出し中だ。

■学校体育の強い影響

 日本にこうした本格的なテニスアカデミーはない。

 日本のテニスの伝統は古く、戦前の新聞報道など野球をしのぐほどスペースを割いていた。ところがプロ化が進み、88年のオリンピック復帰を契機に世界的普及が進むや、男女ともに低年齢化が加速した。ボリス・ベッカー、ステフィ・グラフからマルチナ・ヒンギス、マリア・シャラポワあたりまで10代が活躍した時代だ。

 学業を終えてから世に出るのでは遅く、そもそも朝から晩までテニスという環境を支持する土壌が国内にはない。指導者不足は大きいが、学校体育の影響が強く“テニス漬け”という環境を用意できる現実は国内にはなかったし、これからもないだろう。そこで、テニス好きで、ソニー・アメリカの会長からソニー生保社長を歴任した盛田正明氏が引退後に発想したのが、優秀なジュニアをフロリダのアカデミーで育てるための橋渡し、盛田正明テニスファンドの創設だった。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…