巨人「出戻り山口俊」補強は原監督の悪手…OBから苦言続々

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情けない、節操ない、みっともない

「一体、巨人はどうしちゃったんでしょうか。以前なら考えられなかったことです」

 こう嘆くのは、巨人OBで元投手コーチの高橋善正氏である。

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 巨人は10日、ジャイアンツ傘下3Aサクラメントから自由契約になった山口俊(33)と契約したと発表した。5日に帰国後は隔離中の山口と電話やオンラインで交渉を重ねたという。2年ぶりの復帰となる。

 山口は2019年オフに巨人では初めてとなるポスティングシステムを容認され、メジャーに挑戦。昨季はブルージェイズで17試合に登板し、2勝4敗、防御率8.06に終わった。2年目の今年2月に戦力外となり、ジャイアンツとマイナー契約を結んだが、5試合で0勝3敗、防御率6.17。メジャー昇格はできず、自身のインスタグラムで「夢を追ってメジャーに挑戦しましたが、力及ばずシーズン途中での帰国となります」と明かしていた。

 これには、巨人OBも呆れるしかない。重鎮の広岡達朗氏が雑誌のコラムで「メジャーがいいと言って一度飛び出した人間をまた取りに行くとは、何と情けない巨人になったのかと思う」と嘆けば、前OB会長の柴田勲氏も同じく「獲得するべきではないと思う。節操がない。出たり入ったり…以前の巨人なら考えられなかった」と苦言を呈している。

■先発も後ろも両方足りない

 試合前まで巨人のチーム防御率はリーグ3位の3.45。数字だけ見ればそれほどでもないが、大塚球団副代表が「先発も後ろ(救援)も両方足りない」と言うように、投手陣は火の車。先発陣で開幕からローテーションを守っているのは、この日6失点で2敗目を喫した3年目左腕の高橋だけ。右肘違和感から復帰を果たしたエース菅野を筆頭に、ほとんどが故障の不安を抱えている。リリーフ陣も守護神のデラロサを故障で欠き、頼みのセットアッパー中川も防御率3.77とピリッとしない。だから、「先発もリリーフもできる山口を補強するのだ」と大塚副代表は言うのだが、山口は巨人移籍1年目の17年に酒に酔って暴行トラブルを起こしている。

補強の失敗を補強で埋める愚

 前出の高橋氏が続ける。

「みっともないですね。そもそも投手陣が苦しいのは、原監督のその場しのぎの起用法が大きく影響しています。先発投手に対して全く我慢せずに、二回途中などで降板させ、リリーフ陣を酷使してきた。投手コーチ目線で言うと、こんな使い方をしていたら最後まで持たないと心配していました。抑えのデラロサに九回1イニングを任せることなく、ワンポイントのように使ってプライドをズタズタにした揚げ句、離脱させてしまった。おなじみになってきた『1人1殺』のリリーフにしても、球数は少なくても毎日続けば疲労は蓄積する。リリーフ陣の酷使は8日の試合での球団初の『9人継投』に象徴されています。頼みの中川はリーグ最多を争う登板数で、すでに30試合に投げていて、明らかに疲労の色が見えます」

 なお、8日に3失点した中川について原監督は「このぐらいで疲れたと言っていたら、プロとしては、ちょっとね。疲れてはいないと思うよ」とバッサリだった。

 投壊は補強の失敗も一因だ。昨オフにDeNAから2年総額2億円で井納をFAで獲得したものの、5試合に登板して0勝1敗、防御率は14.40。全く戦力になっていないのだ。

「大枚をはたいて補強したのに、支配下の枠を使っている分、マイナスでしょう。しかも、補強の失敗を山口の補強で埋めようなんて愚の骨頂。これを機に先日2試合に先発した高卒3年目の横川ら若手を使えないものなのか。巨人は移籍前年の19年に15勝を挙げた山口の復帰をありがたがっていますが、マイナーでも打たれているのだから、過度な期待は禁物でしょう」(高橋氏)

■年齢の衰え見える球威不足

 確かにメジャーだけでなく、マイナーでも抑えられなかった33歳の現状は厳しい。

 米球界に詳しいスポーツライターの友成那智氏がこう言う。

「高めの直球と低めのスプリットのコンビネーションが生命線の投手ですが、巨人時代より球威は落ちています。年齢的な衰えでしょう。楽天に復帰した田中も同じタイプですが、田中の方がコントロールがいい。巨人は19年に最多勝を取ったイメージがあるかもしれませんが、今や3Aで防御率6点台の投手。日本に帰ってきても抑えるのは難しいかもしれません」

 巨人はこの日、敵地でのオリックス戦に0―6で敗れ、引き分けを挟んで今季初の4連敗を喫した。首位阪神と6ゲーム差となった原監督にOBの「若手を使って」との声は届きそうにない。

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