プロ3年目に先発転向した山本由伸の内に秘める“芯の強さ”
ヘッドコーチ時代は野手を見る機会が多かったけれど、たちまち、持っているボールは素晴らしいとの評判が聞こえてきた。課題といえば、プロとしての体づくりだけだったといってもよかった。
プロ1年目の夏に一軍デビューを果たし、2年目にはセットアッパーを担った。ストレートの強さはもちろん、すべての球種が一級品だった。
私は監督1年目の19年、その山本を先発で起用した。前年はリーグ2位の36ホールドポイントをマーク。八回を投げてくれればベンチとしては心強かったが、本人からは直接、「先発がやりたいです」と聞いていた。先発の金子千尋、西勇輝が他球団へ移籍したタイミングもあり、チーム的にも先発の方がいいと考えた。その年、8勝6敗、防御率1・95で最優秀防御率のタイトルを獲得するなど、素晴らしい成績を残した。
普段は淡々と落ち着いているように見えて、打者をグイグイ攻めるように内に秘める芯の強さがある。性格も前向きだ。
■「監督、寝ていても大丈夫ですよ」