卓球が競泳が…名将退任ラッシュと強化費縮小でパリ五輪のメダル半減に現実味
競泳では北島康介や萩野公介らを指導した平井伯昌ヘッドコーチ(58)が、日本代表から去る。08年の北京から代表コーチに就き、東京五輪で女子200メートルと400メートル個人メドレーで2冠を獲得した大橋悠依も育てた名伯楽だ。
■東京五輪の“遺産”が3年後までもつのか
退任が相次ぐワケは、名将たちの多くが「東京五輪まで」という契約のもとで指導にあたってきたからだ。13年に東京五輪招致が決定すると、各競技団体が強化費を増額し、施設や指導者に資金を投じてきた。アーチェリーでは17年に、初の外国人指導者となる韓国人コーチ2人を招聘。アーチェリー強豪国である韓国の男女代表コーチによる強化は功を奏し、男子団体で史上初の銅メダルを獲得した。トライアスロンはカナダのヘッドコーチを招聘。日本史上初の銀メダル獲得に沸いた女子バスケットボールのトム・ホーバス・ヘッドコーチ(54)も17年に就任。女子日本代表に外国人がヘッドコーチを務めるのは初めてだったが、すでに退任が濃厚になっている。
東京五輪の開催1年延期に伴い、次の24年パリ五輪は3年後。通常よりも1年短い。代表コーチからの昇格で指導スタイルを引き継ぐ競技もあるが、今回の東京大会で躍進した競技の多くが4年以上の長期政権で結果を出した。チームや選手のレベルの引き上げや維持は一朝一夕にはいかない。何より、東京五輪が終わり、競技団体の多くが強化費縮小に踏み切らざるを得ないのが実情だ。選手、ノウハウ、戦略……東京で培った“遺産”が3年後までもつかどうか。JOC関係者は「メダル数半減もあり得る」と早くも頭を抱えている。