<5>初の海外合宿を前に先輩がズッコケた「パスポートってなんですか?」
何とかパスポートを取ってカルガリーへ。気候が良く、人も優しくて快適だった。メンバーは7人だけだったので、1人1部屋。会社が例年借りているマンスリーマンションのようなアパートメントに1カ月間滞在した。
朝は目玉焼きやパンを作って食べたり、現地で買った炊飯器でお米を炊いて食べたり。昼と夜はみんなで外へご飯を食べに行くような生活だった。
スポーツを続ける中で、国外選手や海外の雰囲気を知ることは大きな刺激になる。その先の競技生活にもいい影響があると私は思っている。可能であれば留学や海外遠征は積極的に行くべき。試合に出なくても、観戦するだけでもいい。
私の現役時代に比べたら、今は外国や外国人に対する抵抗感は少ないだろう。私の時代は海外の人がいるだけで「ガイジンサン!」と緊張し、なるべく目を合わせないでおこう……と怯える人も多かった。
■「ハーイ!」は言っても「イエス」は言わない
もっとも、当時の私は「ハーイ!」と声をかけられたら、とりあえず笑顔で「ハーイ」返し。あまりにもまくしたてられたら、「え~、何言ってるの?」と日本語で言って、笑ってごまかす。そのうちに相手も単語やジェスチャーで一生懸命伝えようとしてくれるので、それで理解できることも多かった。ただ、むやみに「イエス」とは言わない。適当に「イエス!」なんて答えて、実は「ご飯おごってよ!」と言われていたら、あとで困るのは自分だ。
英語が話せなくても寂しさはなく快適で、意外と外国は肌に合っているのかもと思った。バスで1人、パスポートを取りに行ったときの方がよっぽど不安だった。