大阪国際女子が12年ぶりコース変更&ペースメーカー復活…真冬レースで“記録狙い”の不毛
「そうは言っても……」と、ある実業団関係者がこう語る。
「だから暑い8月の北海道マラソンがMGC切符を獲得できる指定大会になっている。東京五輪代表が一発勝負で決まったMGCは大いに盛り上がった。代表選考で揉めることもなく、パリ五輪の代表選考も同じ形になった。MGCの出場資格を得る大会は、女子なら大阪、東京、名古屋という真冬のレースがメインになるが、近年の主要マラソンのあり方を考えれば致し方ないでしょう」
今や国内マラソンは、東京や名古屋ウィメンズのように、いわゆるエリートと市民ランナーが同時に走る大規模な大会でなければ生き残れない。女子のエリート大会は、大阪国際だけだ。この大会には、本店・本社を大阪に置くゼネコン(奥村組)が18年から協賛につき、27年まで契約を更新した特殊な例だ。
MGCができたことでエリート大会の注目度はがた落ち。昨年、国内最古(1946年創設)のマラソン大会だったびわ湖毎日が市民参加型の大阪マラソンに統合されたのは記憶に新しい。
「大規模な都市型の市民マラソンを、五輪のためといって、真夏に行えば死人が出ても不思議ではない」と前出の関係者は言う。夏季に行われる五輪マラソンは時計より順位を争うレースだ。8月の北海道マラソンも暑い。ならば北海道マラソンをPMを排除した上で、一発勝負のMGCへの出場権を得る唯一のレースにした方が、よほど五輪向きの選手を選べるのではないか。