日本にカネがない!28年ロス五輪躍進に早くも暗雲…スポンサー離れ加速、競技団体は火の車

公開日: 更新日:

■国からの100億円超の支援金で金メダル量産

 個人エペで日本フェンシング初の個人種目金メダルを獲得した加納虹輝(26)を筆頭に、金メダル2個を含む5個のメダルを獲得するなど躍進したフェンシングには、23年度8月期決算で3億1544万円超の補助金が国から出ていることが公表されている。08年北京大会銀メダリストで元日本フェンシング協会会長の太田雄貴氏も、「JOC、国の税金で強くなっていったのが実態としてある」とメディアの取材に答えている。

 スポーツ庁が今年5月に発表した「重点支援競技」は、そのランクによって助成金が増額され、最上位のSランクにはフェンシング、柔道レスリング体操ブレイキンの5競技が選ばれた。続くAランクには卓球スケートボードスポーツクライミングサーフィン水泳バドミントン自転車競技バスケットボール陸上競技、ウエートリフティングの10競技が選出。今回のパリ五輪で日本が獲得した45個のメダルのうち、この15競技で実に40個のメダルを量産した。

 選手個々の努力と奮闘もさることながら、国からの支援がメダル獲得に大きく寄与しているとすれば、その恩恵にあずかるアスリートも報奨金の多寡に文句は言えないだろう。

 ただし、「国からの支援があっても、実際の台所事情は火の車、という競技団体は少なくないのが実情です」とスポーツライターの津田俊樹氏がこう続ける。

「例えば、スポーツ庁が定める重点支援競技のSランクに位置づけられるレスリングは、23年度の決算で約4400万円の赤字になっています。Aランクの陸上競技も、連盟の懐事情は厳しい。国からの支援体制に変わりはなくとも、多くの競技団体が21年東京五輪前後からのスポンサー離れに頭を抱えています。日本陸連は学生を含む一般競技者の年間登録料の値上げに踏み切っています。尾県専務理事は『スポンサー頼みだったが、今の収益構造では陸連の機能が止まってしまう』とまで言っている。

事業の縮小と合わせてどうにか当座をしのいでいるというのが現状です。東京五輪はコロナ禍による1年延期に加えて、組織委員会やスポンサー、広告代理店の電通などさまざまな不正、スキャンダルが露呈した。企業の五輪離れが加速し、スポンサー集めを担っていた電通が身動きが取れなくなったことも競技団体にとっては打撃となっている。各競技団体の財政を考えれば、4年後の28年ロス大会で、日本がパリと同じように躍進できるのか、不安要素が大きいのが実情です」

 東京、パリとメダルラッシュに沸いた日本だが、ロスでは厳しい現実を突きつけられる可能性もある。

  ◇  ◇  ◇

 大いに盛り上がったパリ五輪。ところで、アスリートが過ごした選手村で、今大会ではいったい何万個の避妊具が配布されているのか。オリンピアンが語った選手村の「衝撃の実態」とは、どのようなものなのか。 

 ●関連記事【もっと読む】…では、それらについて詳しく報じている。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    安青錦は大関昇進も“課題”クリアできず…「手で受けるだけ」の立ち合いに厳しい指摘

  2. 2

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  3. 3

    マエケン楽天入り最有力…“本命”だった巨人はフラれて万々歳? OB投手も「獲得失敗がプラスになる」

  4. 4

    中日FA柳に続きマエケンにも逃げられ…苦境の巨人にまさかの菅野智之“出戻り復帰”が浮上

  5. 5

    今田美桜に襲い掛かった「3億円トラブル」報道で“CM女王”消滅…女優業へのダメージも避けられず

  1. 6

    高市政権の“軍拡シナリオ”に綻び…トランプ大統領との電話会談で露呈した「米国の本音」

  2. 7

    エジプト考古学者・吉村作治さんは5年間の車椅子生活を経て…80歳の現在も情熱を失わず

  3. 8

    日中対立激化招いた高市外交に漂う“食傷ムード”…海外の有力メディアから懸念や皮肉が続々と

  4. 9

    安青錦の大関昇進めぐり「賛成」「反対」真っ二つ…苦手の横綱・大の里に善戦したと思いきや

  5. 10

    石破前首相も参戦で「おこめ券」批判拡大…届くのは春以降、米価下落ならありがたみゼロ