箱根駅伝の「産学協同」…大学生が広告塔になっていいのか?「線引き」は明確にすべき
スポーツ紙の箱根特集には選手のシューズの銘柄まで入っている。胸のスポンサー名は大きくなり、暮れには学生ランナーを使った広告が躍る。日本はメーカーの国だ。アマチュアリズムを盾に産学協同が良くないなどとは言わないが、大学スポーツがどこまで許すかの線引きは明確にした方がいい。
これは1987年に始まった日本テレビによる全国放映の影響に他ならない。それ以前、箱根駅伝は西日本ではほとんど知られていなかった。完全中継の功労者だったディレクターの坂田信久氏はスポーツマインドを備えた人で「テレビが箱根駅伝を変えてはいけない」と話していた。が、こう付け足した。
「変わるんですけどね」
そこを仕切るのが陸連なり学連、スポーツ庁の仕事だろう。それができないなら不要な機関だ。挨拶など聞きたくもない。
強い青学大の理由は単純で、お化け番組になった箱根を頂点に強化しているからだ。その原メソッドに対し、「世界を目指す」(駒大・大八木総監督)、「トラックのスピードを磨く年代に箱根が存在する位置付け」(中大・藤原監督)と、箱根観は大学それぞれだ。ただ、11年間に8度の総合優勝のチームからオリンピック、世界選手権の代表が一人も出ていないことにメディアは触れようとしない……劣化ではないだろうか。