著者のコラム一覧
武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

箱根駅伝の「産学協同」…大学生が広告塔になっていいのか?「線引き」は明確にすべき

公開日: 更新日:

 1976年のモントリオール五輪で1万メートルを制したのはフィンランドのラッセ・ビレンだった。27分40秒でゴールしたビレンは、履いていたシューズを高々と掲げて場内を1周した。オニツカタイガー、現在のアシックスの靴だ。

 8年後のロサンゼルス五輪、日本が期待した男子マラソンを制したのはポルトガルのカルロス・ロペスだった。炎天下を2時間9分21秒で独走した37歳は、ナイキのシューズをまぶしい西海岸の陽光にかざした。ロペスはモントリオールのラスト1周でビレンに抜かれた。カメラの向こうの宿敵へのアピール……彼らはステートアマでありプロランナーだった。

 2025年の箱根駅伝の復路6区、青学大の野村昭夢は区間記録の快走で連覇を固めると、中継点のテレビカメラにシューズを差し出した。アディダスの3本線の上には仲間からのメッセージが書かれていた。

 箱根駅伝の101回という長い歴史のどこかで、この行為はアマチュア規定違反として失格処分になっていただろう。これを宣伝行為とするなら、白バイ先導で公道を管理する警視庁も神奈川県警も黙認しなかったはずだ。それはそれほど遠い時代ではないが、いまはすてきなエピソードとして語られる……。野村はMVP、金栗杯をダブル受賞した。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    自信なくされたら困るから? 巨人・田中将大がカブス戦登板「緊急回避」の裏側

  2. 2

    巨人阿部監督が見切り発車で田中将大に「ローテ当確」出した本当の理由とは???

  3. 3

    「おむすび」は朝ドラ歴代ワースト視聴率濃厚…NHKは橋本環奈で何を見誤ったのか?

  4. 4

    “レジェンドアナ”近藤サトが明かしたフジテレビアナウンス室の実態

  5. 5

    「相棒」芹沢刑事役の山中崇史さんが振り返る俳優人生…地下鉄サリン事件「忘れられない」

  1. 6

    5周年のSnow Man“目黒蓮独走”で一抹の不安…水面下のファン離れ&グループ内格差

  2. 7

    テレ朝の名物社員「ナスD」パワハラ&経費不適切使用→懲戒処分が示したテレビのヤバイ昭和体質

  3. 8

    巨人・田中将大の早期二軍落ちに現実味…DeNA二軍の「マー君攻略法」にさえなす術なし

  4. 9

    人事局付に異動して2週間…中居正広問題の“キーマン”フジテレビ元編成幹部A氏は今どこで何を?

  5. 10

    兵庫県パワハラ知事は第三者委の「違法」指摘にも居直り反省ゼロ…維新・吉村代表に問われる「製造責任」