「雇用は契約」玄田有史著
ブラック企業、ブラックバイトなどの言葉が生まれる昨今、働き方や処遇について働く人自身がより注意を払って入社を決めるケースが増えている。
かつての終身雇用の時代には、処遇についても「悪いようにはしないから」の一言で済まされてしまうこともあった。だが、あいまいな口約束の結果、働き手が不幸な境遇に陥ることも少なくない。
本書は、雇用は契約という原点に立ち返ることによって、働く環境がいまどうなっているのかをつづりながら、自衛のために働き手が知っておきたいことを提示している。
たとえば今後、人手不足になればなるほど、期間の定めのない無期契約の非正規雇用の増加が予想されるが、非正規雇用はいつでも解雇が可能だというような誤った知識のもとで不利益を被る人もいる。
著者は、安定した働き方を実現するには、自分の契約期間を把握すること。さらに、契約期間に基づく雇用のルールを知ることが必須だと訴えている。
(筑摩書房 1600円+税)