「路上のX」桐野夏生著
中学卒業の目前、真由は両親から、借金を返すために夜逃げすることをいきなり告げられる。それから4カ月、真由は叔父の家に預けられ、合格した私立ではなく叔父の家に近い公立高校へ通っていたが、まともな食事もさせてもらえず、叔父一家の彼女を厄介者扱いする視線に耐えられず、とうとう家出を決行。バイトしていた渋谷のラーメン屋を頼るが、手ひどい裏切りに遭ってしまう。
絶望に陥っているところに出会ったのがリオナだった。リオナは真由の1つ上で、義父から性的虐待を受けていたが、知らぬふりをする母親に我慢ならず、家を出て、JKビジネスで稼いでいた。リオナの幼友達のミトもリオナと同じくネグレクト家庭で育ち、元カレの子供を妊娠していた。
家にも帰れず、自分たちをだまそうとする大人たちから身を守らなければいけない。頼るもののない3人の少女たちはどう生きていけばいいのか。
現代社会が抱える格差・性差の実態を、少女たちの悲痛な叫びを通して訴える問題作。
(朝日新聞出版 1700円+税)