「最高のおもてなし!」竹田新著
日本で最も有名な豪華客船といわれた「竜王丸」は、第2次世界大戦時に敵の魚雷で沈没した。しかしその際、乗船していた乗組員のほとんどが無事だったことから、奇跡の船とも呼ばれていた。そんな伝説の船が沈没してから75年、当時のおもかげをそのままに、竜王丸が再現されることになった。
フリーの雑誌記者・芝田大五郎は、竜王丸にまつわる記事を子ども向けオカルト雑誌に書くため、セレモニーが行われる2017年7月10日に新生竜王丸の進水式に出向く。
芝田の脳裏には、ある老人が書き残した竜王丸でタイムスリップしたという手記の真相を確かめたいという思いがあった。
幼少期から子役として小劇場の舞台に立ち、山野海の名で女優としても活躍しながら、劇団「ふくふくや」の脚本や劇団「ゴツプロ」の演出・作家としても活動する著者の初めての小説。過去と未来が錯綜する「竜王丸」を舞台に、個性的な人々の人生模様がユーモラスに描かれている。(幻冬舎 1400円+税)