倉本聰 ドラマへの遺言
-
劇団四季を受けたら浅利慶太がいて演技のテストがあった
学生時代から実際にラジオドラマとして放送される原稿を書く、プロとしての仕事が始まっていた倉本氏だったが……。 倉本 僕ね、実は学生時代に「劇団四季」を受けたんですよ。ジロドゥが好きだから。 …
-
東大同期・大江健三郎の小説は「わけが分かんなかった」
麻布中学在学中、校友誌「言論」に小説を寄稿。芝居にも精通していた倉本氏は、生まれた時からその道に進む“運命”だったようだ。 倉本 長谷川伸さんっているでしょう? 碓井 「沓掛時次郎」や「…
-
初めての連続ドラマは「伊吹仙之介」のペンネームで執筆
東大在学中、すでに「劇団仲間」に所属し、演劇の世界に傾倒していった倉本氏。秋田放送のラジオドラマ「邑の火」が放送されたのち、別の脚本依頼が舞い込んできたという。 倉本 大学4年の時、それまで「…
-
麻布中学の校友誌で発表した小説がフジのドラマになった
碓井 倉本先生のライフヒストリーを眺めていると、若い頃のイメージとして浮かんでくるのは文学青年です。この若者は、小説家を目指していたのかなって。そのあたりはどうだったんですか。 倉本 やっぱり、…
-
富良野に墓を買ったのは「やすらぎの郷」の放送中だった
常に死を意識しながら、4カ月間に及ぶ執筆期間を過ごした倉本氏。同世代の“戦友”らが次々とこの世を去る中、考えることがあるという。 碓井 昨年、終活をなさったそうですが、具体的に何をされたんです…
-
とにかく死ぬ前に「やすらぎの郷」は書き終わらねば…
2017年春から半年間にわたって放送された「やすらぎの郷」(テレビ朝日系)は、倉本氏にとって初の帯ドラマとなった。長丁場を乗り切るのに最も不安だったこととは。 倉本 このドラマを書くにあたって…
-
映画は“ドラマ”だけど、テレビは“チック”を描くのが神髄
倉本氏が人生初の帯ドラマに挑んだ「やすらぎの郷」(テレビ朝日系)。1話当たりの放送時間は通常ドラマの4分の1程度だった。 倉本 僕、コマーシャルを結構撮っているんですよ。コマーシャルは1本当た…
-
「キャスティングが決まらないと書かない」伝説の真相は
倉本氏はドラマの撮影が始まる前、役者たちが集まって行われるホン読み(台本の読み合わせ)にも立ち会うという、多くの脚本家とは一線を画すスタイルを貫いてきた。キャスティングについても口うるさいといわれる…
-
加納英吉のモデルはバーニング周防さんよりもっと大物
“芸能界のドン”である加納英吉(織本順吉)が、やすらぎの郷を開設した理由が明かされたのは第125話。可愛がっていた女優・大道洋子(大原麗子)の死に衝撃を受けたというのだ。加納の秘書が説明する。「彼女…
-
八千草薫から電話 「私のおならの音、分かりません?」
碓井 浅丘ルリ子さんが先生と一緒に仕事されたのは、「2丁目3番地」(71年、日本テレビ系)が最初だったんですね。当時、石坂浩二さんとの初共演が話題となりました。 倉本 当時のルリ子は小林旭のよう…
-
元嫁・浅丘ルリ子と元カノ・加賀まりこが「全然平気よ」
碓井 先生から、初めて「やすらぎの郷」の企画についてうかがった時、石坂浩二さんが演じる主人公・菊村栄の履歴書も見せていただきました。そうしたら、基本的には倉本聰と重なっているんですよ。まんま倉本先生の…
-
ドラマは履歴書を作らないと“根っこのない木”になる
碓井 八千草薫さんが演じていた大女優・九条摂子が、若い頃、特攻隊員の前で一緒に食事をしたというエピソードも印象的でした。 倉本 森みっちゃん(森光子)だったか高峰三枝子さんだったか、木暮実千代だ…
-
「処女喪失」は五月みどりさんに書いてくれと頼まれた
オトコには理解しがたい女性特有の悩みや心情にも“タブー”を恐れず斬り込んだ「やすらぎの郷」(テレビ朝日系)。倉本氏が着想を得たのは、ある女優のひと言だった。 碓井 菊村栄(石坂浩二)が三井路子…
-
「知的財産奪取は訴訟を起こしてもおかしくない犯罪だ」
碓井 「やすらぎの郷」の中で、よくぞ言ってくださったと思ったことのひとつは、「かつてのドラマの映像が残っていない」という事実でした。倉本先生にしては珍しく、「昭和48、49年より以前の映像は全部ないん…
-
役者の仕事はインナーボイスをどれだけさらけ出せるか
〈倉本脚本は一言一句変えてはならない〉という業界伝説は今も根強く残っている。だが、正しくは「俺が書いたホン(脚本)以上にしてくれるなら変えてくれ」だと倉本氏。それは脚本家としての矜持であり、役者や演出…
-
役者と真剣勝負 「俺が正しいのか、おまえが正しいのか」
碓井 倉本先生はドラマの撮影が始まる前、役者たちが集まって行われるホン読み(台本の読み合わせ)にも立ち会う、“唯一無二の脚本家”として知られています。 倉本 ハハハ。「前略おふくろ様」(日本テレ…
-
素人には藤沢周平の短編集を脚色する課題を与えるべきだ
碓井 日本では「シナリオライター」と「脚本家」に2つの異なる役割があることは広く知られていません。制作サイドもどこまで線引きできているのか。 倉本 米国ではいまだにきちんと分業してます。ハリウッ…
-
「これはもうテレビドラマはやめた方がいいのかなと…」
14年7月期に放送された日曜劇場「おやじの背中」シリーズ(TBS系、全10回)は「父と子」をテーマに掲げた1話完結のオムニバスドラマ。10人の脚本家によるオリジナル脚本の競作で、単発のホームドラマが…
-
「これが最後だと…」 2008年の会見で現役引退宣言の真意
2008年9月、テレビドラマ界に大きな激震が走った。倉本氏がフジテレビ開局50周年記念ドラマ「風のガーデン」(中井貴一主演)の富良野ロケを視察した際の会見で、「脚本を書いているうちにこれが最後だと思…
-
喫煙シーンにTV局が抵抗するか視聴者から文句が上がるか
物語の舞台は海辺の高台にある「やすらぎの郷」という名の老人ホーム。住人たちは、かつて一世を風靡した芸能人や作り手であり、テレビに貢献してきたという共通点を持っている。しかも演じるのは倉本の呼びかけに…