「知的財産奪取は訴訟を起こしてもおかしくない犯罪だ」
昭和40年代以前のドラマの映像が残っていない
碓井 「やすらぎの郷」の中で、よくぞ言ってくださったと思ったことのひとつは、「かつてのドラマの映像が残っていない」という事実でした。倉本先生にしては珍しく、「昭和48、49年より以前の映像は全部ないんです!」とセリフにビックリマークが付いている(笑い)。相当な怒りがあったってことですね。
倉本 それはもう僕らの知的財産を奪ったわけですから。僕は一昨年の16年、終活っていうのをやったんですね。不動産やら遺産やらわずかながらあるわけですが、その中でも最も大きな割合を占めているものは、知的財産権といっても過言ではありません。作品を創作した著者に帰属する著作権をはじめ、作品の再放送、付随する出版物に対する印税など、創作者の矜持として認められるべきものが、驚くことに、昭和48年以前の作品は映像が一切消えてしまっているわけです。
碓井 TBS出身の実相寺昭雄監督も生前、「放送局側に管理保存の意識がなく、その手間や費用を惜しんだんだよ」と憤慨していました。著作権者に断りもなく、作品を処分していたんですから乱暴な話です。