「これはもうテレビドラマはやめた方がいいのかなと…」
14年7月期に放送された日曜劇場「おやじの背中」シリーズ(TBS系、全10回)は「父と子」をテーマに掲げた1話完結のオムニバスドラマ。10人の脚本家によるオリジナル脚本の競作で、単発のホームドラマが基本だった同枠の原点回帰ともいえる企画で話題を呼んだ。倉本氏は第3話「なごり雪」(西田敏行主演)で旧知の演出家・石橋冠とタッグを組んだが、世間の反響をよそに俳優と演出の関係にギャップを感じたという。
碓井 石橋冠さんと倉本先生が組んだドラマといえば、私も大好きな一本で、浅丘ルリ子さん(写真右)と石坂浩二さん(同左)が共演した「2丁目3番地」(日本テレビ系、71年)がありますよね。そして「北の国から」の3年後、天宮良さん初主演ドラマ「昨日、悲別で」(同、84年)の演出も石橋さんでした。「おやじの背中」は同世代で戦友ともいえる石橋さんとの仕事だったわけですが。
倉本 出来上がったVTRを見るとイライラしちゃうんですよ。書いた本人が。めちゃくちゃイライラするんで、これはもうテレビドラマはやめた方がいいのかなと。実は「やすらぎの郷」でもそうだった。しかも長丁場だったので、「おやじの背中」以上に相当激しくイライラが出た。これは振り返れば、僕の台本がダメなんだなっていう気がしているんです。