文庫で読む 食べ物をめぐる物語
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折れた心を癒やす京都の仕出し弁当屋
パリでは、いまちょっとしたBENTO(弁当)ブームで、昼時にはイートイン可のBENTOレストランに行列ができたりしているという。ランチボックスのようなものはあっても、品数は少なく、日本の弁当のように…
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だしの効いた近江料理の多彩さ
今は亡き小田実が、その昔〈コンパラティブ・ウドノロジー〉というのを提唱したことがある。関西の昆布だしの効いた薄い色のうどんのつゆと、関東の鰹だしの濃い色のつゆとの違いを東海道に沿って比較しようという…
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両親を捜してキッチンワゴンで全国巡り
オフィス街で、昼時になるとキッチンカーの前でお弁当を買うために並ぶ行列を見かける。販売形態も、焼き鳥、ラーメンなどの屋台形式から、本格的なフレンチやイタリアンまでさまざま。 本書は同じ移動販…
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思い出の味に出合える「食」の探偵事務所
あるアンケートによると、「思い出の味」といって浮かぶのは、寿司、カレーライス、すき焼き、お子さまランチなどが上位を占め、「おふくろの味」は、これに炊き込みご飯、卵焼き、肉じゃがといった手作り感の強い…
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津軽蕎麦が看板メニューの「大森食堂」が舞台
いつの間にか定着した言葉に「百年食堂」がある。「3代4代と受け継がれ、75年以上続いてきた食堂。/決して特別ではないが、その町の人々に慣れ親しまれてきたメニューがある。/町に、人々の生活に溶け込み、…
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日本人女性がフィンランドで食堂を開く
先頃、「ムーミン」はどこの国を舞台にした物語であるかという大学入試センター試験の問題が話題になった。中に「ムーミン」はスウェーデン語で書かれていて、それをフィンランドと結びつけさせるのは、複数の民族…
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大変なことがあったら、まずは腹ごしらえ
「食欲以上に真実である執念はない」とは、劇作家バーナード・ショーの言葉だが、本書は、この執念のおかげで生き延びることのできた男の話。 【あらすじ】 柳井秀晴は食べることが大好きで、頭に浮かぶの…
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ある日、手にしたパンは異次元のうまさだった
朝食はパンか、ご飯か。各種統計によって数字は異なるが、大ざっぱに全体では、ご飯がパンをやや上回り、若い世代はご飯派、高齢者はパン派が多いようだ。本書の主人公はコメと納豆の朝食で育った50代の男性。そ…
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50年ぶりに妻がパンを食べる姿を見て…
パン屋といえば、町中にあるというのが相場だが、本書の舞台となるのは、北海道の洞爺湖を見渡せる丘の中腹にポツンと立つパン屋。りえと尚の水縞夫妻が営むパンカフェ「カフェ・マーニ」は宿泊もでき、店が供する…
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パンをめぐって幼い恋心が少しずつ発展し…
恋のきっかけはさまざまだが、そのひとつに「おいしそうに食べる」姿に引かれるというのがある。食べる行為がエロチシズムと結びついているせいかもしれない。本書にも、母親が娘に、なんで父のことを好きになった…
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食べることで立ち直っていく人々
本書に登場するある母親がよちよち歩きの娘に語りかける。「きちんと食べなさい。どんなときでも、おいしいごはんを食べなさい。食べてさえいれば、何とかなるんだからね」。どんなにうちのめされていても、お腹が…
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卵かけごはんの専門店を起点に集落活性化計画
テレビのバラエティー番組で圧倒的に多いのが食べ物に関するもの。またレストランなどでも、スマホでインスタグラム用に目の前の料理を撮影している姿をよく見かける。食のテーマは安定した視聴率を稼げるし、アク…