「革命捕手」中尾孝義が見たプロ野球
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プリンスホテルから「補強選手」として熊谷組へ 銀座ありWボーナスありの助っ人扱いだった
専大4年時、中日から「1位指名」を確約されたものの、身長173センチと小柄だった私はプロでやっていく自信が持てず、プリンスホテルの立ち上げメンバーになることを決めた。 秋のリーグ戦が終わり、…
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ドラ1蹴ってプリンスホテル入り 「野球部1期生」だからこその超VIP待遇だった
兵庫・滝川の3年だった私は同学年の作新学院・江川卓(元巨人)と慶大の入試に挑んだ。しかし、結果は不合格。江川は法大へ、私は1浪後に専大へ進んだ。 専大にスポーツ推薦で入学する新1年生は2月に…
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東洋大姫路の監督は「うちに来てくれれば甲子園に出られたのに」と
中学3年の私を熱心に誘ってくれた東洋大姫路を丁重に断り、淡口憲治さん(元巨人)が通った三田学園を志望した。 当時の日下隆監督に「三田学園に行きたいんですけど」と売り込むと、「いや、オレはちょ…
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滝川高時代に「昭和の怪物」作新学院・江川卓の球を2球ファウルしただけで新聞に載った
ここからは私がアマチュア時代の話をしよう。 「昭和の怪物」江川卓に最初に会ったのは1973年3月。私が滝川(兵庫)3年の春だった。 作新学院(栃木)がセンバツ甲子園に出場することになっ…
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専大北上監督3年目で選手が集まり始めた矢先…夏3年連続初戦敗退で肩を叩かれた
2019年夏。岩手県で大船渡の最速157キロ右腕、「令和の怪物」こと佐々木朗希(現ロッテ)フィーバーが起こっていた。 日本中が注目した強豪の花巻東との岩手大会決勝。しかし、大船渡の国保陽平監…
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佐々木朗希を倒して東北大会進出…監督を務めた専大北上が最も甲子園に接近した瞬間
東北大会切符をかけた2018年秋の岩手大会の3位決定戦で、私が監督を務める専大北上は大船渡と当たることになった。 最速157キロのエース佐々木朗希(現ロッテ)対策として体感150キロの高速打…
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“157キロの剛腕”佐々木朗希対策とミーティングの中身 東北大会切符かけ3位決定戦で激突
専大北上(岩手)を率いて2年目の2018年6月。金足農(秋田)の最速147キロ右腕・吉田輝星(現日本ハム)に完投勝利を許したものの、東北大会に出場できた。その前の県大会決勝で、センバツ8強の花巻東に…
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専大北上高の監督2年目に金足農・吉田輝星と対戦「近いうちにブレーク」と予言した
岩手・専大北上高の監督となり、2017年3月の沖縄合宿から合流した。初めての高校野球の指導に胸を躍らせて向かったが、キャッチボールもできない練習を見てがくぜんとした。 「つまらないかもしれない…
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「5年以内に甲子園へ」と依頼が…星野仙一さんの遺志を継ぎ専大北上高監督に
阪神のスカウトの契約が終わった2016年12月、学生野球資格回復制度の研修を受け、日本学生野球協会の適性認定を受けた。 すると、年末に母校の元専大監督・江崎久さんから岩手の専大北上高の監督就…
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選手に手を上げクビ覚悟の台湾球団で急きょ監督に…翌年も留任のはずがチーム消滅
台湾の三商タイガースで総合コーチを務めていた1999年6月。私はサインを無視する選手に手を上げてしまい、それを球団代表に目撃された。 「中尾さん、1週間前に選手を殴りましたね?」 「はい…
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台湾プロ野球からキャンプ臨時コーチのオファー 終了後も「このまま残って」と
西武の二軍バッテリーコーチを退任した1998年、来年はどうしようかと思い、中日時代の投手コーチで、当時の横浜・権藤博監督に連絡をすると、「来年のコーチはもう決まっちゃったよ」との答え。すると、しばら…
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阪神「フロントだけ」の親善旅行は毎年大盛り上がり それでも「契約終了」は突然に
コロナ以前の話だが、阪神では編成やスカウトが属する球団本部、総務部、営業部などが「フロント職員だけ」で毎年1月に親善旅行に出掛けていた。 総勢80~90人の大所帯で行き先は毎年変わる。観光バ…
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「会社登録」社会人チーム激減で…最近は「育成」でもプロに入りたい選手が増えている
各球団で増えている「育成契約」。阪神スカウトの時、よく「育成でもプロ入りした方がいいのか」と聞かれたが、これは難しい問題である。 例えば陽川尚将は、金光大阪3年時のドラフトで、巨人から育成3…
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日米20球団が雄星と面談 阪神は松坂の甲子園時との比較データを見せて説得した
最速154キロの直球と打者の手元で鋭く曲がるスライダー。投手が補強ポイントだった阪神は、早い段階で花巻東の左腕・菊池雄星(ブルージェイズ)の1位指名を決めていた。しかし、ドラフト前に騒動が起こった。…
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投手を見るのにスピードガンではなく、ストップウォッチを2個持っていた理由
プロ球団のスカウトは「スピードガン」を構えているイメージがあるかもしれないが、私はあえて持たなかった。 投手の球を自分の目で見るためだ。投げた時の初速と終速の差がない方が打者は嫌だと感じる。…
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横山雄哉には申し訳ない気持ちでいっぱい ドラフト前に左肩の状態が分かっていたら…
阪神は2014年ドラフトで私が担当した新日鉄住金鹿島・横山雄哉を外れ外れ1位で指名。その後の健康診断で「鎖骨が浮いている状態」という結果が出た。 案の定、横山は年明けの新人合同自主トレ中に「…
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“菊池雄星2世”左腕・横山雄哉はドラフト後「鎖骨が浮いてる」と診断された
スカウトとして私が最も惚れ込んだのは「長崎の大砲」こと江越大賀である。 ■「江越は新井兄より上」の身体能力 駒大3年時、2013年の大学日本代表候補合宿で、亜大の九里亜蓮(現・広島)か…
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阪神・原口文仁は帝京高時代、2時間かけて帰宅した後も自宅で打撃練習をしていた
帝京高の前田三夫監督(現・名誉監督)によると、原口文仁は埼玉の寄居町から毎朝5時台の始発に乗り、片道約2時間をかけて、東京の板橋区まで通学。授業と練習を終えて深夜に自宅へ帰った後も毎日、家族にトスを…
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2013年阪神ドラ1・陽川は3位以内じゃないとプロ入りしないと言ってきた
阪神は東都大学2部リーグに所属する国士舘大の左腕・岩崎優を2013年ドラフト6位で指名した。 担当スカウトだった私は、春のキャンプに同行。するとブルペンで岩崎の球を受けた捕手の日高剛にこう耳…
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「ドラフト6位で岩崎を指名してください」阪神球団社長とスカウト部長にお願いした
阪神の編成部に所属していた私は、2009年からスカウト専属となった。その8年間の中で、私が担当した一番の出世頭は岩崎優だろう。 昨季は勝ち試合のセットアッパーとして62試合に登板し、自己最多…