「ドラフト6位で岩崎を指名してください」阪神球団社長とスカウト部長にお願いした
阪神の編成部に所属していた私は、2009年からスカウト専属となった。その8年間の中で、私が担当した一番の出世頭は岩崎優だろう。
昨季は勝ち試合のセットアッパーとして62試合に登板し、自己最多でリーグ2位の41ホールド、防御率2.65でブルペンを支えた。侍ジャパンの一員として出場した東京五輪でも勝ちパターンの中継ぎとして3試合計2回無失点と好投。金メダル獲得に貢献した。
今季9年目を迎える。13年ドラフト6位で国士舘大から入団した際、660万円スタートだった年俸は、昨年末の契約交渉で1億5000万円に跳ね上がった。
最初に見たのは大学3年時。私は東京と群馬、栃木、茨城の北関東3県、青森、秋田、岩手の東北3県を担当していた。東都大学2部リーグにいた東農大のスラッガーの陽川尚将を神宮第2球場に見に行くと、対戦相手の左腕が岩崎だったのだ。
球速は最速135キロほどで平均は130キロちょっと。スピードはないのに、なぜか打者のバットが空を切る。当たったとしても詰まるケースが多かった。手足が長く、球持ちがいい。初速と終速の差があまりないため、球速の割に空振りを取れる。伸びしろを感じた。来年も良ければリストアップしなきゃいけないと感じた。