伝説の凄腕スカウトは見た!
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関西の逸材を発掘する中で阪神からスカウトされたことがある。移籍していたら「給料は…」
2005年高校生ドラフトで1巡目指名した炭谷銀仁朗は、複数回の交渉を経て、11月中旬に仮契約を結んだ。 「伊東監督は自身の後継者が欲しかった。だから炭谷を一軍キャンプに連れていって英才教育を施…
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最後のドラ1炭谷銀仁朗の母親の隣で“一般人のフリ”して何度か一緒に試合観戦…親とは極力接触しない理由
「あの時いらっしゃったのは、鈴木さんだったの?」 自ら担当し、平安高(現・龍谷大平安高)から2005年高校生ドラフト1巡目指名した炭谷銀仁朗の母親は、こう言って驚いたという。 「たしか西…
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清原、潮崎、長見、玉野、炭谷…それぞれ思い入れのあるドラフト1位指名余話
鈴木はスカウト時代、5人のドラフト1位を担当した。 最初が1985年の清原和博。野茂英雄(新日鉄堺)が史上最多の8球団競合となった89年には、潮崎哲也(松下電器)を単独指名した。 鈴…
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故障持ちや素行に訳アリ選手が活躍する分水嶺…出身校や能力値よりも大事なこと
プロでは、活躍する選手もいれば、志半ばでユニホームを脱ぐ選手もいる。 鈴木は「選手は取らないと始まらない」というのが持論。よほどのことがない限り、素行や故障を理由にリストから外すことはしなか…
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高校時代の投手・糸井嘉男に野手としての潜在能力を見いだし何度も京都府宮津に足を運んだ
京都・宮津は日本海に面する港町。日本三景の「天橋立」があり、江戸から明治時代にかけて日本海を巡航した「北前船」の停泊地でもあった。 1999年のある日、鈴木は宮津駅からタクシーに乗った。目的…
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選手チェックで重視した手足の親指の使い方 技術以外ではルックスも評価項目に入っていた
鈴木には球場で視察するときの指定席がある。一塁側か三塁側、目当ての選手のベンチでの様子が見える場所で、立ち居振る舞い、しぐさ、クセも含めてチェックする。 投手を評価する上で重視していたのが、…
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京都の怪腕 斉藤和巳をチェックした「選手を丸裸にする指定席」 あえてバックネット裏を避けていた理由
「1995年夏の京都大会で平安(現龍谷大平安)の1年生左腕の川口知哉に投げ勝つと、準々決勝まで進みました。川口はその2年後、春夏甲子園に連続出場し、同年ドラフトでオリックスに1位指名された。その川口に…
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野茂英雄は高校時代に1位指名を模索した 2年夏に完全試合達成、彗星の如く現れた“トルネード”
1985年7月19日。大阪・住之江球場で行われた夏の大阪大会で、無名投手が快挙を成し遂げた。 成城工業(現成城)の2年生・野茂英雄が生野相手に完全試合を達成したのだ。 27人の打者相…
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稀代のスラッガー中村剛也が活躍すると判断した根拠 逆風吹いた“肥満体型”は問題視しなかった
兵庫・育英の栗山巧を担当した2001年ドラフト。同じく鈴木が担当し、2巡目指名したのが大阪桐蔭の中村剛也(40)だ。 13日時点で通算476本塁打は歴代10位タイ、本塁打王6度はプロ野球史上…
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足で稼いだ情報の積み重ねが逸材を引き寄せる 数字やデータだけでは分からない情報が武器だった
「スカウトの仕事は、その1年の選手を見ることだけではありません。来年、再来年と先を見据えて選手を見ておかないといけません」 鈴木が担当した選手には28年間のスカウト人生が詰まっている。清原和博…
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中学時代の栗山巧を打撃指導したことがある 他のスカウトは猛反対も編成責任者に「絶対に活躍します」
鈴木が担当した4位以下の下位指名選手で最も活躍した一人は、今もユニホームを着ている。 育英高(兵庫)から2001年ドラフト4巡目で指名、21年に2000安打を達成した栗山巧(40)である。 …
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他球団はノーマークの中嶋裕之をドラフト5位で指名、近鉄の名物スカウトに「脱帽です」と言わしめた
「西武のスカウトに脱帽です」 鈴木が担当し、県立伊丹北高から2000年ドラフト5位で指名した中島裕之(宏之=現・中日)について、かつて近鉄の名物スカウトといわれた堀井和人氏はこう言って悔しがっ…
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サブローだけじゃない 担当外でも独自のコネクションで情報入手、青田買いに動いた逸材
PL学園高の大村三郎(サブロー=現・ロッテ二軍監督)は、鈴木が1994年のドラフトで4位指名を狙った選手だった。が、蓋を開けてみるとロッテが単独で1位指名。鈴木にとっては想定外の結果が待っていた。 …
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後のサブローことPL学園・大村三郎は「隠し玉」としてドラフト4位で指名するつもりだった
1985年ドラフトの清原和博、桑田真澄をはじめ昭和、平成期のPL学園は逸材の宝庫だった。 鈴木もPL学園には何度も足を運んだ。93年ドラフトで松井稼頭央を3位指名した翌94年、「隠し玉」とし…
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和田一浩の外野転向&2000安打達成を支えた大きな武器
西武、中日で2000安打を達成した和田一浩(現・中日コーチ)は、県岐阜商、東北福祉大、神戸製鋼を経て、捕手として1996年のドラフト4位で西武に入団した。 この年のドラフトは、井口忠仁(資仁…
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「28年間で素材は一番」 清原以上の大砲候補を和歌山の小さな分校で見つけた
「28年間のスカウト人生で素材は一番。高校1年時の夏の大会でたまたま目についたショートがいた。リストは強いし、パワーもある。肩も強い。体も大きくて185センチくらいあった。足も50メートル6秒を切る。…
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PL学園・松井稼頭央は身体能力&ルックスが高評価も右肩手術歴がネック、スカウト間の評価が割れた
鈴木は28年間のスカウト活動で数多くの逸材を担当、指名した。捕手の炭谷銀仁朗(2005年)のように1巡目で取った選手もいれば、中島宏之(裕之=00年5位)、栗山巧(01年4巡目)のように下位指名やド…
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協約違反で契約無効になった小島弘務を巡る根本陸夫流「親分の後始末」
1989年12月、西武はドラフト外で投手の小島弘務(現・浜松修学舎高監督)を獲得した。鈴木にとっての「隠し玉」だった。 平安高(現・龍谷大平安)から駒大へ進学するも、1年夏に中退。その後、か…
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“隠し玉”森山良二を単独1位指名した86年、根本陸夫さんは阿波野、西崎との「3頭取り」を想定していた
西武は1986年ドラフトでアッと驚く指名をやってのけた。 福岡大大濠高を経て、北九州大を中退した森山良二という無名投手を1位指名した。いわゆる隠し玉である。鈴木は言う。 「西武は森山と…
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球界の寝業師こと根本陸夫さんに教わったスカウト術 「スピードガンよりも自分の目を信じろ」「タクシーには乗るな」
スカウトの仕事と酒は切っても切れない関係にある。酒を口にしない鈴木は先輩スカウトの「酒を飲めないと勝負にならない」という言葉に「だったら、お茶で勝負してやる」とタンカを切った。 下戸なスカウ…