故障持ちや素行に訳アリ選手が活躍する分水嶺…出身校や能力値よりも大事なこと
プロでは、活躍する選手もいれば、志半ばでユニホームを脱ぐ選手もいる。
鈴木は「選手は取らないと始まらない」というのが持論。よほどのことがない限り、素行や故障を理由にリストから外すことはしなかった。昔は今よりコンプライアンスに寛容だった面はあるにせよ、色眼鏡で見ず、掛け値なしに能力と将来性を見極め、プロでの可能性を見いだそうとした。
かつて指名した投手は高校時代にケンカを売られ、日本刀で足を刺されたことがあったという。
「今だったら素行が……となったかもしれませんが、とにかく球が速くてボールに力があった。あの清原和博が『桑田(真澄)より球が速い投手を初めて見ました』と驚いていたくらい。プロでも10年以上プレーして良かったなと」
条件付きで獲得したこともある。
兵庫・姫路の市立琴丘高から2004年ドラフト6巡目指名した藤原虹気(現一軍ディレクター)は、契約金に“出来高”を付けた。
「同年のドラフトで日本ハムが1巡目指名したダルビッシュ有と同じ196センチあって、3年春の県大会はエースとしてベスト8。ところがその後、自転車で事故を起こして左膝を骨折してしまった。治ればモノになると見込んで、球団にも事情を説明し、取ってもらいました。契約の際、1年間のリハビリを経て2年目に9イニングを投げたら契約金の一部を払うという内容でした」