「世界の航空機 大図鑑」フィリップ・ホワイトマン総監修 中川泉、竹田純子訳
人類が営々と築き上げてきた航空機の歴史をたどる豪華写真図鑑。
太古から、鳥のように空を自在に飛ぶことと、それによって得られる自由を夢想してきた人類は、1783年、モンゴルフィエ兄弟がパリで製造した気球による世界初の有人気球飛行で実現する。1799年にはイギリスの工学者サー・ジョージ・ケイリーが飛行の原理を解明し、飛行機械を設計。約100年後の1903年、ご存じのようにライト兄弟によってようやく初飛行にこぎつける。
それからわずか6年後、フランス人のルイ・ブレリオが製造した航空機が36分半で英仏海峡を横断。近代的航空機のモデルとなったその「ブレリオⅪ」は、以後、注文が殺到して900機も造られ、1914年には世界の軍用機の大半を占めていたという。
驚くことに、ライト兄弟が約260メートルの飛行に成功してから四半世紀後の1920年代には、輸送手段として定期旅客機が登場するとともに、個人オーナー向けの航空機生産が始まり、自家用機時代に突入しているのだ。
ひところコンピューター技術の革新の速さを「ドッグイヤー」などともてはやしたが、航空機も負けず劣らずの猛烈なスピードで進化を遂げていったことがよく分かる。