「カラー版 廃線紀行 もうひとつの鉄道旅」梯久美子著

公開日: 更新日:

 かつて線路だった跡を徒歩でたどる「廃線歩き」の魅力を伝えるビジュアル新書。

 全国の廃線跡を踏破してきた著者が、北は北海道から南は鹿児島まで厳選50路線を、歩いて見つけた、とっておきの風景とともに紹介しながら、廃線歩きという鉄道旅の新たな楽しみ方を提案する。

 まずはインターネットで見て一目ぼれした橋に会うために北海道へ。橋は夕張市のシューパロ湖に架かる三弦橋で、「下夕張森林鉄道 夕張岳線」の遺構だった。現役の鉄道橋でも、これほど絵になる美しい橋はなかなかないと著者は絶賛する。昭和21年の開通時にはシューパロ湖も橋もなかったが、ダム湖の完成で路線が水没したため三弦橋が架けられた。

 しかし、昭和38年に廃線になり、橋が活躍したのはわずか5年だけだったという。

 残念ながら新ダムの完成で三弦橋は現在、水没し、水位が下がったときにしか現れない。

 昭和45年に廃線になった道北の「国鉄根北線」には、昭和15年の完成以来、一度も列車が走ることがなく放置された10連アーチ橋「越川橋梁」の遺構がある。戦争に翻弄された末に全線開通をせずに廃線になってしまった故の結果だ。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動