「カラー版 廃線紀行 もうひとつの鉄道旅」梯久美子著
かつて線路だった跡を徒歩でたどる「廃線歩き」の魅力を伝えるビジュアル新書。
全国の廃線跡を踏破してきた著者が、北は北海道から南は鹿児島まで厳選50路線を、歩いて見つけた、とっておきの風景とともに紹介しながら、廃線歩きという鉄道旅の新たな楽しみ方を提案する。
まずはインターネットで見て一目ぼれした橋に会うために北海道へ。橋は夕張市のシューパロ湖に架かる三弦橋で、「下夕張森林鉄道 夕張岳線」の遺構だった。現役の鉄道橋でも、これほど絵になる美しい橋はなかなかないと著者は絶賛する。昭和21年の開通時にはシューパロ湖も橋もなかったが、ダム湖の完成で路線が水没したため三弦橋が架けられた。
しかし、昭和38年に廃線になり、橋が活躍したのはわずか5年だけだったという。
残念ながら新ダムの完成で三弦橋は現在、水没し、水位が下がったときにしか現れない。
昭和45年に廃線になった道北の「国鉄根北線」には、昭和15年の完成以来、一度も列車が走ることがなく放置された10連アーチ橋「越川橋梁」の遺構がある。戦争に翻弄された末に全線開通をせずに廃線になってしまった故の結果だ。