酒が飲めない夜のとっておきの過ごし方教えます
うまい酒の本、酒を楽しむための本はあまたあるが、酒を飲めない自分はどうしたらいいんだ!? そんな下戸の皆さんにお薦めしたいのが、タイトルもズバリの、本の雑誌編集部 下戸班編「下戸の夜」(本の雑誌社 1600円+税)。下戸だった意外な有名人の素顔や、しらふだからこそ味わえるさまざまな喜びについてつづられている。
酔っぱらいの演技が見事だった昭和の国民的スター植木等だが、実は本人はお酒が全く飲めなかったと述懐するのは、付き人だった小松政夫である。芝居の影響から酒豪と勘違いされ、植木のもとには上等な酒があちこちから送られてきていたが、それを全部もらっていたのが、酒好きだった小松だ。
植木は飲まなくても、映画の打ち上げなどでは2次会、3次会とずっと付き合い、しらふで場を盛り上げていたという。そして、“酔い”を自分の芸にできる、優れた観察者でもあったと振り返る。
酔わない夜の充実した過ごし方も語られている本書。例えば、パフェを食べに出掛けるのはどうか。女子供の食べるものと思うなかれ。いわゆるスイーツ専門店だけでなく、バータイムにのみ提供される大人味のパフェも増えている。
甘いものが苦手という人は、行きつけのコーヒー店を持っておくといい。本書がお薦めするのは千代田区神田の「眞踏珈琲店」。5000冊の本が並ぶ店内にはバーのようなカウンターもあり、コーヒーを楽しみながら本を読みふけるもよし、店主との会話を楽しむもよし。チーズの盛り合わせをコーヒーとともに味わうメニューもあるそうだ。
今は酒好きの人でも、年を取って、あるいは体調を崩して、飲めなくなる時が来るかもしれない。“下戸の夜”の楽しみ方を知っておいて損はない。