海洋プラスチックごみの総量は1億5000万トン!?

公開日: 更新日:

 ストローやレジ袋の廃止など、脱プラスチックの流れが加速している。一方で、消費者側はプラスチックの悪影響をどれだけ理解できているだろうか。

 シャンタル・プラモンドン、ジェイ・シンハ著、服部雄一郎訳「プラスチック・フリー生活」(NHK出版 2000円+税)では、プラスチック使用に伴う人体への有害化学物質の暴露について、分かりやすく解説している。

 プラスチックは軽い物質であり、きちんと捨てているつもりでも、その破片や切れ端は風に飛ばされ川に流され、やがて海へとたどり着く。アメリカの海洋調査団が全世界の海洋プラスチックごみの総量を推計したところ、海底も含めて実に1億5000万トン以上という恐ろしい結果が出ている。

 海中に入ったプラスチックは微細化し、海中のダイオキシンや重金属、放射性物質を吸着する。カラフルなプラスチック片は、まるで魚の餌のように見える。小魚がそれを食べ、大型魚がその魚を食べる。食物連鎖を経て毒素の生物濃縮が起き、最後は私たちの体に入ってくるわけだ。

 海のものを食べなければ済む話ではない。食品容器やウオーターサーバーのボトルに使われる、ポリカーボネートやエポキシ樹脂。これらの製造に用いられるビスフェノールAは、油や酸や熱で染み出し、ホルモンかく乱作用をもたらすといわれている。つまり、内分泌疾患や不妊、精子の減少、乳がんや前立腺がんにつながる恐れがあるのだ。

 食品はガラス瓶入りのものを選ぶ、プラスチック製のキッチン用品は木製かステンレス製に替えるなど、今日からできる脱プラスチック生活の工夫も伝授。まずは身の回りのプラスチック製品の洗い出しから始めてみては。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    “3悪人”呼ばわりされた佐々木恭子アナは第三者委調査で名誉回復? フジテレビ「新たな爆弾」とは

  2. 2

    フジテレビ問題でヒアリングを拒否したタレントU氏の行動…局員B氏、中居正広氏と調査報告書に頻出

  3. 3

    菊間千乃氏はフジテレビ会見の翌日、2度も番組欠席のナゼ…第三者委調査でOB・OGアナも窮地

  4. 4

    中居正広氏「性暴力認定」でも擁護するファンの倒錯…「アイドル依存」「推し活」の恐怖

  5. 5

    大河ドラマ「べらぼう」の制作現場に密着したNHK「100カメ」の舞台裏

  1. 6

    フジ調査報告書でカンニング竹山、三浦瑠麗らはメンツ丸潰れ…文春「誤報」キャンペーンに弁明は?

  2. 7

    フジテレビ“元社長候補”B氏が中居正広氏を引退、日枝久氏&港浩一氏を退任に追い込んだ皮肉

  3. 8

    下半身醜聞ラッシュの最中に山下美夢有が「不可解な国内大会欠場」 …周囲ザワつく噂の真偽

  4. 9

    フジテレビ第三者委の調査報告会見で流れガラリ! 中居正広氏は今や「変態でヤバい奴」呼ばわり

  5. 10

    トランプ関税への無策に「本気の姿勢を見せろ!」高市早苗氏が石破政権に“啖呵”を切った裏事情